聴器毒性評価におけるモルモット鼓室内投与法の検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Development of an intratympanic dosing method for evaluation of ototoxicity in guinea pigs
抄録
<p>鼓室内投与は鼓膜を通して鼓室内に薬液を注射針で注入する手法であり,耳鳴りや突発性難聴の治療薬の臨床適用経路として用いられている.動物の鼓室内投与はこれまで頭蓋骨に穴を開け直接鼓室内にカテーテルを留置する方法が用いられてきたが,より簡便な方法として,今回我々は12~13週齢の雄性Slc:Hartleyモルモットを用いて外耳道より鼓膜穿孔して鼓室内投与を行った.聴器に対するその影響を調べるため,機能評価として聴性脳幹反応(ABR)検査,組織学的評価として光学顕微鏡検査(HE)及び走査型電子顕微鏡検査(SEM)を実施した.鼓室内投与は吸入麻酔下で,内視鏡を用いて左外耳道より30G注射針及びマイクロシリンジを用いて実施した(10匹/群).生理食塩液あるいは陽性対照物質として4% gentamicin溶液100μLを1日1回,10日間投与した場合は,生理食塩投与群のDay 14でのABR閾値が投与前値よりも上昇し(90 dB以上の個体:0/10→3/10例,群平均:45→82 dB),鼓膜穿孔による聴覚機能の低下がみられたが,gentamicin投与ではより高値であった(90 dB以上の個体:0/10→6/10例,群平均:45→94 dB).組織学的評価ではHEでは投与手技に起因する外耳道の痂疲,鼓膜の線維化,鼓室の出血,中耳粘膜の線維化がみられ,両群に差は無かったが,SEMでは内有毛細胞及び外有毛細胞不動毛の消失がgentamicin群のみでみられた.一方,生理食塩液を週1回,4週間投与した場合,Day 28のABR閾値上昇はわずかで(平均:40→53 dB),また投与手技に起因するHEの変化はごく軽度であった.以上より,モルモットへの鼓膜穿孔による鼓室内投与で聴器毒性評価は可能であり,さらに週1回,4回投与では聴覚検査に対して投与手技の影響もほとんどないことが明らかとなった.</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 47.1 (0), P-152-, 2020
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390285697591511296
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- NII論文ID
- 130007898275
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可