メチル水銀の神経毒性におけるTNF-αの役割

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タイトル別名
  • The role of TNF-α in methylmercury-induced neurotoxicity

説明

<p>【目的】メチル水銀は水俣病の原因物質であり,様々な神経障害を呈することが知られている。当研究室の先行研究で水俣病モデルラットにおける小脳顆粒細胞層への傷害および末梢神経の感覚神経優位な傷害にTNF-αやTNFシグナル活性化による炎症性の細胞死が関与する可能性が示唆された。本研究の目的は,TNF-α欠損マウスを用いてTNF-αが介在するメチル水銀の神経傷害を明らかにすることである。</p><p>【方法】野生型およびTNF-α欠損の雌雄C57BL/6Jマウス(15~32週齢)に,塩化メチル水銀を15 mg/kg/dayで5日間投与2日間未投与のサイクルで2週間経口投与した。対照群は体重あたり同様のPBSを投与した。投与開始直後より体重測定,生存率,および通常姿勢時の後肢踵間の距離(cm)を測定し後肢伸長症状を評価した。水銀蓄積量は摘出した臓器を硝酸にて湿式灰化処理し,金アマルガム法にてICP-質量分析装置に供した。</p><p>【結果および考察】メチル水銀投与群の雄性の野生型およびTNF-α欠損マウスの生存率,体重減少の変化,および各臓器における水銀蓄積量に有意な差は認められなかった。しかしながら,後肢踵間の距離を比較すると,投与後9日目以降からTNF-α欠損マウスと比較して野生型マウスの後肢間の距離が優位に短縮していた。この後肢伸長症状の出現率は,野生型マウスでは投与後10日目にかけて70%に上昇したが,TNF-α欠損マウスの後肢伸長症状の出現率は20%程度であり,TNF-α欠損マウスにおいてメチル水銀による後肢伸長症状の出現の遅延が認められた。一方,雌性マウスについては野生型と比較しTNF-α欠損マウスの生存率が高く,後肢伸長症状の出現の遅延が認められた。以上より,少なくともメチル水銀による後肢伸長症状の出現にはTNF-αが関与することが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390285697591546240
  • NII論文ID
    130007898309
  • DOI
    10.14869/toxpt.47.1.0_p-14s
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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