腫瘍内分散性と発熱性を有するマグネタイト正電荷脂質複合粒子の腫瘍内マルチサイト投与法を用いた大型腫瘍の治療条件とその完全退縮効果

  • 森野 富夫
    名古屋市立大学大学院医学研究科,腎・泌尿器科学分野
  • 井藤 彰
    名古屋大学大学院工学研究科,化学システム工学専攻
  • 惠谷 俊紀
    名古屋市立大学大学院医学研究科,腎・泌尿器科学分野
  • 内木 拓
    名古屋市立大学大学院医学研究科,腎・泌尿器科学分野
  • 河合 憲康
    名古屋市立大学大学院医学研究科,腎・泌尿器科学分野
  • 安井 孝周
    名古屋市立大学大学院医学研究科,腎・泌尿器科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Heat Dose Based Large Tumor Treatment with Multiple Site Injections of Heat-generating Nanoparticles Dispersible within Tumor Tissue
  • シュヨウ ナイ ブンサンセイ ト ハツネツセイ オ ユウスル マグネタイト セイ デンカ シシツ フクゴウ リュウシ ノ シュヨウ ナイ マルチサイト トウヨホウ オ モチイタ オオガタ シュヨウ ノ チリョウ ジョウケン ト ソノ カンゼンタイシュクコウカ

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抄録

<p>腫瘍内に局所投与したマグネタイト正電荷脂質複合粒子(MCL粒子)に交番磁場を照射し,その発熱誘導により癌を治療する方法が,本邦で開発された.筆者らは,前報において,腫瘍体積当たりの発熱量(J/cm3 tumor volume)がインビボの抗腫瘍効果に相関することを示し,その施術管理指標(ヒートドーズ,J/cm3 tumor volume)としての有用性を報告した.更に,体積が1.36 cm3の腫瘍の単一サイトに45 mgのMCL粒子を投与した条件において,完全退縮に必要なヒートドーズの基準値(700~850 J/cm3)を示した.本研究の目的は,より大型の臨床腫瘍の治療を想定して,MCL粒子を腫瘍の複数サイトへ投与する際の治療条件をデザインし,その抗腫瘍効果を検証することにある.</p><p>動物腫瘍モデルには,化学物質で誘発したラット乳腺腫瘍(2.19~3.81 cm3)を用いた.ラット乳腺腫瘍の治療条件は,MCL粒子を投与した複数のサイトで,前報の単一サイト投与の治療条件を再現することを基本コンセプトとして,デザインした.投与サイト数は,腫瘍体積(cm3)を除した値が1.36 cm3/siteに近似するように設定し,MCL粒子は腫瘍内の投与サイトが均等間隔となるように注射針を穿刺し,緩徐に同時投与した.ヒートドーズ(J/cm3)は,前報の基準値に近似するように照射条件を調節し,同様に30分3連日の磁場照射を行った.この結果,治療開始21日目に全例で完全退縮が確認され,大型腫瘍に対する複数サイト投与と照射条件のデザイン法の妥当性が示された.更に,技術的,実務的に最良と考えられる定型的な治療条件(投与量,ヒートドーズ,照射プロトコール)を規定して,当該条件で誘導される壊死領域(cm3 necrosed tumor volume/site)の推定法を示し,その臨床活用法を論じた.</p>

収録刊行物

  • Thermal Medicine

    Thermal Medicine 36 (4), 101-108, 2020-12-25

    日本ハイパーサーミア学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (2)*注記

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