日本画における金属箔の輝きを抑える方法とその効果について

  • 市川 加那子
    筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程芸術専攻

書誌事項

タイトル別名
  • The Method and the Effect of Suppressing the Gloss of Metal Leaf in Japanese-Style Painting
  • ニホンガ ニ オケル キンゾクハク ノ カガヤキ オ オサエル ホウホウ ト ソノ コウカ ニ ツイテ

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説明

<p>本稿は,金属箔を「装飾」とは異なる視点で論じるため,日本画における金属箔の輝きを抑える方法に着目し,その方法と効果について考察することを目的としている。筆者は,日本画の金属箔の輝きを抑える方法として,「裏箔」,「金属箔への絵具の塗布」,「金属箔の表面を荒らす方法」の3点に着目した。これらの3つの方法は,金属箔の輝きを抑えて金属の素材感を弱めるだけでなく,金属箔を色彩として捉えることのできる方法であることが示唆された。さらに,金属箔の輝きを抑え,金色や銀色等の金属箔の色を活かすことで,金属素材や光り輝くモチーフはもとより,それらとは関連のないモチーフの色彩や,画面の絵肌の表現に繋がることがわかった。また,本稿を通して,日本画や日本絵画では,金属箔の輝きを最大限活用する方法だけでなく,金属箔の輝きを抑えることで生まれる色や絵肌を活かす方法が展開されてきたことを提示した。</p>

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