教職科目の授業内におけるディスカッションを通じた教職志望学生間の相互作用

書誌事項

タイトル別名
  • Examinations of Interactions among Teacher-Training Students through Discussions in Teacher Training
  • Based on J. P. Gee’s Discourse Theory
  • ジーのディスコース(Discourse)概念を手がかりとして

説明

<p>本稿では,教員養成課程の授業内において,教職志望学生が教育問題について価値判断を行う場面に着目し,学生間の相互作用がどのように展開し,学生たちの考え方や学習に影響を及ぼすのかを明らかにした。具体的には,「体罰と教育上の暴言の問題」をテーマとしたディスカッション場面を事例として,ディスコースの視点から学生間の相互作用を分析した。</p><p>その結果明らかになったことは,第一に,体罰について主張するとき,被養育経験および被教育経験としての体罰が重要な言語的資源と位置づけられ,体罰についての家庭の論理が学校教育へ入り込んでいったこと。第二に,学生間の相互作用の中で「子ども(教育)のために」家庭のしつけと同等の役割を志向する〈献身的教師像〉やパターナリズムに類する教育観が,支配的になっていた可能性があること。第三に,ある学生による異なるディスコースへの抵抗は,自身の被養育経験の親による体罰を正当化するための一つの戦略だった可能性があるということである。</p><p>以上の結果から,本稿において学生らが教育問題という現実と向き合う際の新たな解釈枠組みを生成していく可能性を指摘したことは,今後の教員養成段階の学習者を対象とした研究方法論の進展に寄与する。 また,本稿は学習者の側から教員養成課程の授業の意味を問い直す契機をもたらすものであるといえる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390287540632110720
  • NII論文ID
    130008020403
  • DOI
    10.18971/nasemjournal.45.0_13
  • ISSN
    2189907X
    03859746
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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