細胞治療に用いる間葉系幹細胞加工製品の品質、有効性及び安全性評価の課題
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- 澤田 留美
- 国立医薬品食品衛生研究所再生・細胞医療製品部
書誌事項
- タイトル別名
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- Issues in quality, efficacy and safety evaluation of mesenchymal stem cell processed products used for cell therapy
説明
<p>間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cells, MSC)は、自己複製能や分化能だけでなく液性因子分泌能、免疫調節作用及び損傷部位への集積能(遊走能)等を持つことが知られており、細胞治療や再生医療分野での応用が進んでいる。2021年3月現在、わが国ではMSCを利用した再生医療等製品は、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病を対象としたヒト(同種)骨髄由来MSC と脊髄損傷に対するヒト(自己)骨髄由来MSC の2品目が上市されている。また、多岐に渡る疾患に対してMSC加工製品の治験が国内外で複数進行中であり、2020年には新型コロナウイルス感染症(CVID-19)を対象とした治験も行われ、今後ますますMSC治療の開発が進むと思われる。</p><p>一方で、MSCの基準に関しては、国際細胞治療学会(ISCT)が「1. プラスチック接着性、2. 表面抗原:CD105, CD90, CD73陽性、CD45, CD34, CD14/CD11b, CD79α/CD19, HLA-DR陰性、3. 骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞への分化能」を示しているものの、MSCは様々な機能を持った亜集団の集合体であるため、ドナー、採取部位、採取方法等によりMSCの集団の機能や特性が大きく異なる。国内でこれまでに開発されたMSC加工製品において構成細胞の特性解析に関する評価項目は、分化能、細胞形態観察、遊走能、栄養因子等の分泌、免疫調節能等であるが、MSCを用いた治療の有効性や作用機序(Mode of Action)については不明確な点も多い。求める有効性がMSCのどの機能に大きく依存しているか解析するのが非常に困難であり、現時点ではMSCの品質評価法について国際的にも広く確立された方法は定められていない。医薬品の考え方では当てはまらない部分が多いため、細胞加工製品に特化した評価の考え方を定めていかなければならない。本講演では、MSC加工製品の研究開発の現状と、品質・有効性及び安全性評価に関する今後の課題について紹介する。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 48.1 (0), S24-4-, 2021
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390289011245096192
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- NII論文ID
- 130008073911
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可