植物栄養成分センサの開発

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  • 白井 理
    京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻
  • 宋和 慶盛
    京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻
  • 北隅 優希
    京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Development of Electrochemical Sensors for Nutrient Components
  • ショクブツ エイヨウ セイブン センサ ノ カイハツ

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抄録

<p>穀物や野菜の栽培においては,植物が必要とする三要素(窒素,リン,カリウム)のバランスのよい施肥が必要不可欠である.また,農地土壌や水耕栽培の培養液のpHも植物の生育に大きな影響を及ぼす.三要素の窒素は,硝酸イオン,亜硝酸イオン,アンモニウムイオンとして環境中で存在するが,とくに硝酸イオンは植物の成長に深く関係し,簡単にその場でできる硝酸イオン濃度の測定法が求められている.イオン選択性電極(ISE)による定量法は,前処理を必要とせず,簡単で持ち運びも容易であり,有力な候補である.しかし,従来の硝酸イオンISEの応答挙動が不安定であることからほとんど利用されてこなかった.著者らは,共存する塩化物イオンの影響をできるだけなくすことで,1か月程度のモニタリングに使用できるISEの開発に成功した.また,リン酸イオンは中性領域で酸解離反応があり,H2PO4とHPO42−が共存するため,pHとともに評価する必要がある.リン酸イオンISEは,応答挙動が複雑で安定性に欠けるため,実用化されていなかった.著者らは,溶存酸素濃度を一定にすることにより,コバルト修飾電極を用いて再現性よくH2PO4を定量できることを見いだした.また,リン酸に限らず他の微量成分の存在形態はpHに依存し,pHも植物栽培において重要であることから,ガラス電極に代わる新規pHセンサの開発も試みた.さらに,硝酸イオンISEとリン酸イオンISEとともに既報のカリウムイオンISEを組み合わせることで水耕栽培の培養液中の栄養成分濃度を自動制御する簡易システムを構築した.</p>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 70 (9), 501-510, 2021-09-05

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (27)*注記

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