低温風洞装置を用いた硬雪時の水平面風向直交方向への吹雪粒子の速度と角度

  • 杉浦 幸之助
    富山大学 アラスカ大学フェアバンクス校国際北極圏研究セ ンター
  • 大井 聖也
    富山大学
  • 根本 征樹
    防災科学技術研究所雪氷防災研究センター新庄雪氷環境実験所
  • 小杉 健二
    防災科学技術研究所雪氷防災研究センター新庄雪氷環境実験所

書誌事項

タイトル別名
  • Velocity and angle of blowing snow particles in the direction perpendicular to the wind over a hard snow surface using a low-temperature wind tunnel
  • テイオン フウドウ ソウチ オ モチイタ コウセツジ ノ スイヘイメン フウコウ チョッコウ ホウコウ エ ノ フブキ リュウシ ノ ソクド ト カクド

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抄録

風が強まると,雪粒子は雪面と衝突・反発・射出(スプラッシュ過程)を繰り返し,吹雪が立体的に発達していくことになる.本研究では,風洞装置を用いて硬雪時のスプラッシュ過程によりどのように風向に直交する水平方向に吹雪が発達するのか検討した.風洞実験の結果,風速が6.0ms−1から8.0ms−1へと増すにつれて,粒子に作用する空気抵抗により,水平面衝突速度は速くなり,角度は風向方向に近づいた.また,水平面反発速度の平均は衝突前の0.66倍であった.個々の粒子の水平面衝突速度に対する反発の比(水平面反発係数)はおよそ0.2から1まで広く分布していた.さらに,これまでの鉛直断面からの観察では捉えることができなかった水平面風向直交方向に大きく反発する粒子が実験的に確認され,このような粒子が水平面風向直交方向への発達を担っているといえる.衝突する際の幾何学的関係から水平面反発角度の分布が説明された.加えて,風速が増すにつれて,鉛直方向と風向直交方向の飛雪流量の割合がわずかに変化していた.同じ吹走距離で比べると風速の増加とともに雪面への衝突回数が少なくなるために風向直交方向の発達が弱かった可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 雪氷

    雪氷 83 (3), 285-297, 2021

    公益社団法人 日本雪氷学会

参考文献 (12)*注記

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