門司・佐伯の群落光合成理論にもとづくスギ人工林の総生産量の推定

書誌事項

タイトル別名
  • Estimation of gross production in a Cryptomeria japonica plantation on the basis of MONSI-SAEKI’s model of canopy photosynthesis
  • モンシ サエキ ノ グンラク コウゴウセイ リロン ニ モトズク スギ ジンコウ

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説明

愛知県北設楽郡稲武町の21年生(1983年現在)スギ人工林において、林分現存量、葉群呼吸量と群落総生産量の推定を行なった。伐倒調査によって得られた各器官重量(乾重)と個体幹直径との相対生長関係に基づいて推定した調査林分の現存量は206.4 t ha^-1であった。このうち、幹は124.5 t ha^-1、枝は11.2 t ha^-1、葉は24.6 t ha^-1、根は46.1 t ha^-1を占めていた。当年生葉の現存量は群落葉現存量の約20%を占めると推定した。林分葉面積指数(全表面積の半分)と林冠の吸光係数の値はそれぞれ、18.2 ha ha^-1と0.256 ha ha^-1と推定された。1982年11月から1983年12月まで毎月1回、スギ葉シュート切枝の暗呼吸速度と純光合成速度を測定した。単位葉面積当たりの暗呼吸速度は葉シュートの地上高によって異なっていた。このことを考慮して葉群呼吸速度の推定を行い、その季節変化を示した。年間葉群呼吸量の推定値は58.5 t ha^-1 y^-1であった。門司・佐伯の群落光合成理論に基づいて日群落総生産量を推定した。日射量に対するエネルギー効率は1.3~4.3%の範囲で季節変化した。年間群落総生産量の推定値は、60.6 t ha^-1 y^-1であった。年間群落総生産量から年間葉群呼吸量を差し引いて求めた年間剰余生産量の値は2.1 t ha^-1 y^-1で、年間現存量増加量よりも小さかった。このことから、年間群落総生産量が過小に推定された、もしくは、年間葉群呼吸量が過大に推定されたと考え、その原因について考察した。

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