ノルベルト・エリアスと人間像の問題

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タイトル別名
  • Norbert Elias and the Problem of Human-Images
  • ノルベルト エリアス ト ニンゲンゾウ ノ モンダイ

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抄録

一九六九年、ドイツでの『文明化の過程』の再版を契機として、ノルベルト・エリアスの業績は広く社会学という領域において認知され評価されていくことになる。その再版に際して新たに書き下ろされた「序論」のなかで、エリアスは次のような言葉を述べている。「人間像の論究は、何よりもまず文明化過程に関する当研究のより良き理解に役立つものである」。本稿は、エリアスにとっての人間像の問題の位置と内容を確定するという、基礎研究的性格を持つ。本稿で主張されるのは以下のことである。エリアスにとって「閉じた人homo clausus」という人間像の問題は、『文明化の過程』の完成を待って生じてきたものではない。それは、エリアスが自らの研究生活の端緒から取り組みつづけた問題であり、自らの宮廷社会論や「文明化の過程」論といった特徴的な社会認識を創造していくための重要な導きの糸となった問題である。そして、宮廷社会論や「文明化の過程」論の展開を通じて、エリアスが自らの社会認識の基盤として提示することになるのが、「開いた人々homines aperti」という人間像である。検討の中心となるテキストは『宮廷社会』(1969)と『文明化の過程』(1969)であるが、人間像の問題がエリアスにとって重要な問題であるため、本稿でのテキストへの言及は上記の二冊にとどまることなく、エリアスの著書全般にわたることになる。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 20-2 291-308, 1999

    大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室

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