逆流性食道炎に対して投与したプロトンポンプ阻害剤が奏功した発作性心房細動の一例

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  • A Case of Paroxysmal Atrial Fibrillation Improved after the Administration of Proton Pump Inhibitor for Associated Reflux Esophagitis
  • Case report: A case of paroxysmal atrial fibrillation improved after the administration of proton pump inhibitor for associated reflux esophagitis

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抄録

症例は64歳男性.動悸を主訴に来院した.ホルター心電図の結果より動悸は発作性心房細動によると考えられた.動悸は胸やけと前後して起こり夕食後や臥位で多かったため,この症例の心房細動は迷走神経依存型と考えられた.しかし従来の抗不整脈薬(ジソピラミド:300mg/日)の心房細動に対する抑制作用は十分ではなかった.内視鏡検査では逆流性食道炎も確認され胸やけはこれによると考えられたため,プロトンポンプ阻害剤(ラベプラゾール:10mg/日)を投与したところ,胸やけの改善とともに動悸も著減した.これは内視鏡所見の改善から考えると,逆流性食道炎による炎症機転が食道と隣接する左房へ波及していた可能性と,これがプロトンポンプ阻害剤によって抑制された可能性が考えられた.プロトンポンプ阻害剤自体の心臓迷走神経や心房筋への作用はなお不明ではあるが,少なくとも逆流性食道炎をともなう発作性心房細動に対して,プロトンポンプ阻害剤は補助的な治療効果を有すると考えられる.

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