ヤップのやり方、昔のやり方、ヤップの格好 : ミクロネシア・ヤップ社会における「伝統」概念の分析

書誌事項

タイトル別名
  • The Way of Yap, The Way of the Past, The Style of Yap : The Analysis of the "Tradition" in Yap
  • ヤップ ノ ヤリカタ ムカシ ノ ヤリカタ ヤップ ノ カッコウ ミクロネシア ヤップ シャカイ ニオケル デントウ ガイネン ノ ブンセキ

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説明

ミクロネシア・ヤップ社会には、「伝統」に相当する概念として、ヤレン・ユ・ワアブ、ヤレン・二・カクロム、ヤアン・ユ・ワアブの三種類の概念を見いだすことができる。本稿は、これら三種類の「伝統」概念の解読と分析を通じて、オセアニアの伝統をめぐるこれまでの議論を批判的に検討し、「伝統」研究の新たな方向性を提示することを目的としている。ヤレン・ユ・ワアブすなわち「ヤップのやり方」は、他地域との共時的比較を通じて客体化される概念である。一方、ヤレン・二・カクロムすなわち「過去のやり方」は、現在との通時的比較を通じて客体化される概念である。これら二つの概念はともに「ヤレン」すなわち「やり方」の語を含み、社会関係と密接に関係している。これに対して、ヤアン・ユ・ワアブすなわち「ヤップの格好」は単に外見のみを問題とした概念であり、ヤレンすなわち社会関係とは関係がない。これまでの議論は、政治的な文化表象としての伝統概念のみを対象としていたため、地域社会の日常生活における「伝統」概念は見逃されてきた。地域社会の歴史的動態や経験を解読するためにも、本稿で試みたような地域社会の「伝統」概念の解読は、積極的に行われる必要がある。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 24-1 87-105, 2003

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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