職業とパーソナリティ研究の展開 : 長期的パネル調査と国際比較にもとづく仮説の一般化

書誌事項

タイトル別名
  • The Development of Work and Personality Studies : Generalization of the Thesis from Long-term Panel and Cross-national Surveys
  • ショクギョウ ト パーソナリティ ケンキュウ ノ テンカイ チョウキテキ パネル チョウサ ト コクサイ ヒカク ニ モトヅク カセツ ノ イッパンカ

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説明

本稿の目的は、Melvin L. Kohn とCarmi Schooler を中心とする職業パーソナリティ研究の全体像を描き、これを概説することにある。職業とパーソナリティ研究とは、アメリカでの長期的パネル調査と、アメリカ、ポーランド、日本、ウクライナでの国際比較調査に基づく一連の研究を指している。本稿では、アメリカにおける第三波調査および国際比較調査から得られた研究成果を取り上げる。Kohn らは、職業とパーソナリティの間には交互作用効果が存在するという仮説をたて、一九八〇年代の前半までにこれを実証した。本稿では、これをWork and Personality 仮説と呼ぶ。一九九〇年代なかばに実施されたアメリカ第三波調査は、壮年期・高齢期に達した人びとを対象としてこの仮説を検討し、年齢や就労の有無にかかわらず、また余暇といった職業以外の生活領域においても、この仮説が支持されることを示した。つまり、仮説が対象とする人びとや生活領域が拡張されたのだといえる。さらに、一九七〇年代以降行なわれてきた国際比較調査では、社会体制や文化、社会の安定性の相違を超えてこの仮説が検証された。つまり、この仮説はさまざまな国や状況に適用できることが示されたといえよう。このように、Kohnらは、両調査を通じてWork and Personality 仮説の一般化を試み、それに成功したのである。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 26 19-36, 2005-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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