尾崎翠研究 : 女主人公の影と彷徨

書誌事項

タイトル別名
  • オザキスイケンキュウ : オンナ シュジンコウ ノ カゲ ト ホウコウ

この論文をさがす

抄録

尾崎翠作品には「片恋・失恋」のモチーフが頻出し、登場人物はしばしば三人のうち、どの二人も組になってゐないトライアングル」を形成する。登場人物たちのほとんどは「儚いワガボンド」であり、影と共に歩き、影との対話を試み、そして、『地下室アントンの一夜』で彼ら自身が地下の住人となってしまう。分身文化の一つである映画に心奪われた翠は、モンタージュといった映画の技法を作品に取り入れたが、「分身」もまた視覚技法と共に持ち込まれた重要なモチーフであるといえないだろうか。本研究ではテキストに即しながら、尾崎翠作品で扱われている「分身」のテーマについて読み解き、翠にとって「分身」への恋をテーマとして扱うことはどのような意味を持ったのか、「分身」のモチーフに翠のどのような恋愛観・ジェンダー観が込められているか、考察する手がかりとしたい。

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ