<研究ノート>井上毅の思想的性格

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タイトル別名
  • <Notes>Kowashi Inoue's 井上毅 Character of Thought

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説明

明治憲法および教育勅語の主たる草案起草者たる井上毅は、通常、絶対主義政治家として理解されているが、かれは具体的にどのような思想をもつてこれらの起草にあたつたであろうか。一体、かれの思想の体系ないし構造はどのようなものであつたか。これらの問題は明治憲法体制 (明治憲法) とそれを支える天皇制国家観 (教育勅語) とが相互補完的に成立してくる歴史的事情を明かにする上で重要である。従来かれの思想構造を直接に示す資料や明治憲法と教育勅語との成立を統一的に理解する上の資料は見出されなかつた。これに関するものとして私は以前から井上毅文書中の「儒教ヲ存ス」と題した長文の草稿に注目していたが、最近に至つて大阪の田中良雄氏所蔵の書翰がそれに該当することが明確になつたのを機会に、当該資料を紹介して、井上が儒教思想を尊重・維持せんとした事実およびその意義を明かにして、元田永孚の思想との対比を試みた。またかれが憲法との密接な関連性において儒教思想を維持し、ひいて勅語の起草におよんだことを具体的に立証し、さらにかれが明治国家の立憲制的側面の発展ないし市民社会の進展方向を十分に把握したものではなかつたことも論述した。

収録刊行物

  • 史林

    史林 43 (3), 434-451, 1960-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390290699825411456
  • NII論文ID
    120006818259
  • NII書誌ID
    AN00119179
  • DOI
    10.14989/shirin_43_434
  • HANDLE
    2433/249492
  • ISSN
    03869369
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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