シスチン要求性アンチポーターを介した過剰な活性イオウ分子の細胞外排出
書誌事項
- タイトル別名
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- Export of excess reactive sulfur species through cystine-dependent antiporters
説明
<p>【背景・目的】 活性イオウ分子 (Reactive sulfur species, RSS) は, 高い求核性および抗酸化性を有することから, 親電子性・酸化ストレスの抑制に重要な役割を果たしている. その一方で, 過剰な硫黄ストレスに対する細胞内の適応応答はよく分かっていない. そこで, RSS産生酵素の一つであるcystathionineγ-lyase (CSE) を高発現させたCSE-Tgマウスを作製し, RSSの増加による硫黄ストレスに対する制御機構を検討した. </p><p>【結果・考察】 CSE TgマウスにCSEの基質であるシスチンを過剰に投与すると, 臓器の萎縮など硫黄ストレスが見られた. 野生型(WT)マウスとCSE Tgマウスのさまざまな組織におけるRSSレベルはほぼ同じであったが, CSE Tgマウスの血漿中のRSSレベルはWTマウスよりも有意に高かった. このような細胞内からの余剰なCysSSHの汲み出しは, CSE Tgマウスの初代肝細胞でも見られた. また, RSSドナーであるNa2S4に初代肝細胞を曝露すると, RSSが細胞内で一時的に増加し, 細胞外へ排出されて定常レベルに戻った. さらに, RSSの一つであるシステインパースルフィド (CysSSH) の排出にはシスチンが必須だった. この結果から, CysSSHの排出に少なくともシスチン要求性アンチポーターであるSLC7A11が寄与していることが示唆された. そこで, SLC7A11をノックアウト (KO) あるいは過剰発現 (KOKI) したHepG2細胞を樹立し, 各細胞を用いてSLC7A11がシスチンおよびCysSSHのアンチポーターであることを確認した. これらの結果から, 細胞には過剰なCysSSHを排出するシスチン要求性アンチポーターが存在し, その一つがSLC7A11であることが示唆された.</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 49.1 (0), O-38-, 2022
日本毒性学会