化学修飾および機械解繊セルロースナノファイバーの細胞影響

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Cellular effects of chemically modified and mechanically defibrillated cellulose nanofibrils

抄録

<p>軽量で高強度、低熱膨張性等の特徴を有するセルロースナノファイバー/セルロースナノフィブリル(CNF)は、新材料として期待される一方、繊維状で超微細な特性を持つことから、依然としてヒト健康影響に関して不確実性が残されており、産業利用のためその懸念を払しょくすることが望まれている。本研究では、CNFの吸入影響の検討を目的に、ラット肺胞マクロファージ(NR8383)およびヒト気道上皮細胞(BEAS-2B)を用い、異なる原料樹種と製法により作製された2種類の化学修飾CNFおよび4種類の機械解繊CNFの細胞影響を調べた。自転公転ミキサーや超音波分散器によりCNF分散液を調製した後、それぞれの分散液のレオロジー特性や、CNFの繊維長や繊維径の計測を行った。全ての細胞培地中において著しいCNFの凝集や、一般細菌、真菌、マイコプラズマは認められなかったことから、調製したCNF分散液を培養細胞試験に用いた。細胞培地中に100 μg/mLの濃度になるように各種CNF調製液を添加し、それぞれNR8383およびBEAS-2Bを48時間培養した。この結果、ミトコンドリア脱水素酵素活性の有意な低下や、乳酸脱水素酵素(LDH)の放出、活性酸素種(ROS)産生の有意な上昇は認められなかった。一方、100 μg/mLの条件で24時間および48時間暴露したNR8383において炎症性サイトカインIL-1α, MIP-1α, IL-1β, IL-18, MCP-1, TNF-α, Spp1の有意な産生が認められた。また100 μg/mLの条件で48時間暴露したBEAS-2BにおいてIL-4, MCP-1, MMP-9の有意な産生が認められた。有意な細胞毒性やROS産生が認められないにも関わらず、CNFの原料樹種や製法、物理化学特性によりその程度が異なるものの炎症性サイトカインの産生が認められたことは興味深い。今後、CNF調製液中のエンドトキシンの測定や、網羅的遺伝子発現解析などを実施し、メカニズムの解明を行う予定である。本発表は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/CNF安全性評価手法」の結果から得られた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390293191189814144
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_p-202
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ