酒粕成分の貯蔵による変化と加熱調理による変化

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タイトル別名
  • Changes of sake lees components in preserving and cooking

抄録

<p>【目的】酒粕は、タンパク質、食物繊維やビタミンなど豊富な栄養素があると知られている。先行研究で、ACE阻害活性を有するペプチドやS-アデノシルメチオニンなど多くの機能成分を含み、さまざまな生理機能を持つことが明らかになっている。しかしながら、粕漬けや粕汁などの伝統的な食品に従来活用されていた酒粕は、食生活の変化により需要が減少している。本研究では、酒粕を有効利用できる調理方法について検討するために、保存や加熱による成分の変化について検討した。</p><p>【方法】試料は、2021年兵庫県産山田錦の酒粕と、それを約1時間踏み込み、常温で約2ヶ月保存した踏み込み粕とした。また、3年保存の踏み込み粕を3年粕として実験に供した。加熱試料については、酒粕を送風定温乾燥機にて焼成し、調製した。保存による色調変化を観察するため、色差を測定した。酒粕と踏み込み粕について、フォ-リンチオカルト法によりポリフェノール量、DPPHラジカル活性消去能にて抗酸化能測定を行った。</p><p>【結果・考察】保存によりL*値が低下、b*値が上昇し、3年粕は茶褐色に呈色した。また、ポリフェノールの検出量および抗酸化能の増加が認められ、両者に強い正の相関が見られた(r=0.98)。酒粕の着色は、アミノカルボニル反応によるメラノイジン色素の生成が寄与していると考えられた。抗酸化能を有するメラノイジンの増加に加えて、酒粕の自己消化により、ポリフェノールが配糖体からアグリコンに変化し、抗酸化能の増加に影響したと推察した。さらに焼成後において抗酸化性物質検出量は増加した。これらの結果は、酒粕の成分を活かした調理方法を検討する上で役立つと考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390293279512368768
  • DOI
    10.11402/ajscs.33.0_26
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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