公共政策における「交差性」概念の有効性と課題——理論的枠組みと批判的実践という観点から

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  • The Effectiveness and Challenges of Intersectionality in Public Policy: An Analysis Using the Perspective of Theoretical Frameworks and Critical Praxis

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近年、多様性の尊重が政策課題として顕在化する中、政策過程において人々の様々な差異をめぐる不平等や差別への理解を拡大し、応答することが喫緊の課題となっている。本研究ではこうした問題意識から「交差性(intersectionality)」概念に着目し、先行研究を足掛かりとしながらその概念の特徴を整理し、政策に導入する意義と課題を検証した。 社会運動にルーツを持つ交差性概念には、複雑な抑圧構造とその関係性を捉える理論的枠組みと、社会的正義を志向する批判的実践という2つの側面がある。この2つの側面は、社会の様々な不平等を内包する政策過程において有効である。交差性の視点からの政策分析は、異なる対象への影響や政策の権力作用を明らかにし、公正な社会構築に向けて政策過程を批判的に捉えなおす契機となる。しかしながら、概念の実践的な使用は未だ模索段階にあり、方法論の精緻化及び日本の政策文脈に着目した実証的な分析の推進が今後の課題である。

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