廃用性筋萎縮モデル動物へのオリーブ葉抽出物投与の影響

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  • Effect of olive leaf extract on skeletal muscle in disuse-induced muscle atrophy model rats

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抄録

<p>骨格筋は運動機能を支える重要な器官であるが,運動量の低下や安静状態の継続により日常生活に必要な筋力が失われる.サルコペニアはロコモティブシンドローム(運動器症候群)の原因の一つであり,高齢化社会の日本にとって解決すべき課題である.そこで本研究では廃用性筋萎縮実験動物モデルとして,足関節固定を行ったラットを用い,オリーブ葉抽出物(OLE)を投与することで,足関節の動きに関与する筋肉への影響を検討した.</p><p>試験には8 週齢の雄性Slc:Wistar ラットを用い,非固定コントロール群,固定コントロール群,固定OLE 投与群に分けた.固定コントロール群と固定OLE 投与群は左後肢足関節を最大底屈位で2 週間固定することで筋萎縮を誘導した.足関節固定開始の1 週間前から解剖するまで,固定OLE 投与群にはOLE を100 mg/kg body weight で連日経口投与した.非固定コントロール群および固定コントロール群にはOLE の溶解に使用した0.5% トラガカントゴム溶液を投与した.足関節固定開始から2 週間後に解剖を行い,ヒラメ筋,足底筋,腓腹筋を摘出した.それぞれ重量を測定したのち,ヒラメ筋と足底筋の組織標本を作製した.筋線維横断面積の測定は,組織標本のラミニン染色画像からImage J を用いて筋肉の変化を評価した.細胞試験ではラット横紋筋由来細胞(C2C12)を用いてOLE の添加によるLPS 刺激への応答の変化を検討した.非固定コントロール群に対して,固定コントロール群および固定OLE 投与群は筋湿重量で有意に低値を示し,筋萎縮が誘導されたことが確認できた.固定コントロール群と固定OLE 投与群で比較すると,筋肉湿重量では群間で有意な差は認められなかったが,筋線維横断面積はOLE 投与群の足底筋で有意に増加していた.細胞による検討では,LPS 刺激を加えたC2C12 の筋管直径は小さくなるが,OLE を添加すると筋管直径が維持された.</p><p>以上の結果から,OLE の投与により筋線維の太さを回復させることで廃用性筋萎縮を改善する可能性が示唆された.</p>

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