口唇生検で確定診断に至った後腹膜線維症を呈するIgG4関連疾患の1例

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  • Ig-G4 RELATED DISEASE: A CASE REPORT

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抄録

<p>IgG4関連疾患は血清IgG4の上昇と全身諸臓器にIgG4陽性形質細胞の浸潤を伴う臓器腫大,肥厚性病変を認める全身性慢性疾患であり,涙腺・唾液腺病変,自己免疫性膵炎に加えて胆管,腎,後腹膜・大動脈周囲ならびに肺等に時間的多発性をもって病変が出現する。</p><p>症例は72歳,男性。当院消化器内科で後腹膜線維症を指摘されIgG4関連疾患の疑いで当院膠原病リウマチ科を紹介受診した。後腹膜病変の生検は高侵襲であるため大唾液腺生検の検討を目的に当科を紹介された。超音波検査で両側顎下腺の低エコー領域を認めたが,頸部単純CTや単純MRIでは顎下腺病変は認めなかった。顎下腺生検も検討したが,唾液腺病変を認めていなくても小唾液腺の生検による組織学的検査でIgG4関連疾患を診断できる可能性が一定確率あり,診断の一助になる有益性も考慮して口唇生検を選択した。病理組織学的所見では「著明なリンパ球,形質細胞の浸潤と線維化を認める」,「IgG4/IgG陽性細胞比40%以上,かつIgG4陽性形質細胞が10/hpfをこえる」の2項目を満たしIgG4関連疾患の診断に至った。IgG4関連疾患の診断において生検部位に悩む症例では低侵襲で行える口唇小唾液腺生検の有用性が高いと考えられた。</p>

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