重症熱傷患者におけるカンジダ血症のリスク因子の検討

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  • Risk Factors for Candidemia in Severe Burns

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抄録

<p> 【背景】熱傷は侵襲性カンジダ症が発症するリスクが高い特異的な病態とされているが, そのリスク因子について検討した報告は多くはない.<br> 本論文では, 重症熱傷患者におけるカンジダ血症のリスク因子を明らかにすることを目的とした.<br> 【方法】2008年から14年間に当院に入院した重症熱傷 (軽症熱傷症例, 気道熱傷単独例, 来院時心肺停止例, 受傷後1週間以内の死亡例, 電撃症をのぞく) を対象とし後方視的に検討した. 重症熱傷患者の定義は, Ⅱ度熱傷面積が30%以上もしくはⅢ度熱傷面積が10%以上とした. カンジダ血症の定義は, 3日間広域抗菌薬を投与しても38.5度以上の発熱が続いた場合に施行した血液培養で1セット以上カンジダ属が検出されたものとした.<br> 【結果】対象患者は72人. その中央値は年齢52歳, 総熱傷面積38%, Ⅲ度熱傷面積38%, 気道熱傷合併例は25例 (35%), 死亡率は21%であった. カンジダ血症の合併は27例 (38%) であり, カンジダ血症群と非カンジダ血症群の2群間における単変量解析では, 総熱傷面積はカンジダ血症群のほうが有意に広く, また死亡率は37%と有意に高かった. 一方, 性別, 年齢, Ⅱ度熱傷面積, Ⅲ度熱傷面積, 気道熱傷合併の有無, 人工呼吸器管理の有無, ICU滞日数については有意な差を認めなかった. カンジダ血症の有無を目的変数とし, 年齢, 総熱傷面積, 気道熱傷の有無を説明変数としロジスティック回帰分析施行したところ, 総熱傷面積が独立してカンジダ血症の合併に影響を及ぼしていた. カンジダ血症の発症に関して総熱傷面積のカットオフ値を50とすると, 感度が63%, 特異度が80%であった.<br> 【結論】総熱傷面積は独立してカンジダ血症の合併に影響を与え, 50%をこえる熱傷患者の治療においては, カンジダ血症の発症を念頭に入れ治療にあたる必要がある. </p>

収録刊行物

  • 熱傷

    熱傷 49 (3), 129-132, 2023-09-15

    一般社団法人 日本熱傷学会

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