手指,足趾に多発した痛風結節の 1 例

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タイトル別名
  • A Case of Multiple Gout Nodules on the Fingers and Toes
  • シュシ,ソクシ ニ タハツ シタ ツウフウ ケッセツ ノ 1レイ

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抄録

<p>60 代,男性。40 年前から痛風の既往があるが,治療は自己中断していた。自覚症状はなかった。手指,足趾に白色結節が多数みられ,当科を受診した。両側手掌と指腹,右足趾に自覚症状がない 2~10 mm の黄白色,弾性軟および硬の小結節ないし結節が多発していた。左手第 4 指の DIP 関節には 1 cm の結節があり,全周性に腫脹がみられた。右第 3 趾 PIP 関節には同様の結節が認められた。石灰化病変を考え,単純 X 線撮影を施行したが石灰化病変は描出されなかった。末梢血尿酸値は 11.4 mg/dl であった。病理組織学的所見:真皮乳頭下層から皮下組織にかけて,不整形,大小不同の好酸性無構造物質が存在し,偏光顕微鏡で黄白色の針状結晶がみられ,痛風結節と診断した。両膝痛風性関節炎のため,プレドニゾロン 20 mg/ 日内服とトリアムシノロンアセトニド関節内注射を施行した。フェブキソスタット 30 mg,ベンズブロマロン 50 mg 内服追加し 1 カ 月後,尿酸値 4.7 mg/dl まで低下し症状軽快した。高尿酸血症は近年,内科的治療が確立されており痛風結節に至る症例は稀である。しかし,皮膚科領域でも痛風結節を診察する機会はあり,特に手指の結節は鑑別に関節リウマチ,黄色腫,石灰沈着症,腫瘍性疾患などが挙げられる。高尿酸血症の早期治療の重要性を認識するとともに,手指の結節を診察した際には痛風結節も念頭に置いて,積極的に皮膚生検にて診断し,一部をアルコール固定法に供し,偏光顕微鏡で針状結晶を確認する必要がある。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (6), 456-459, 2023-12-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (4)*注記

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