マウス骨芽細胞様細胞におけるグルコース欠乏によって発現変動する遺伝子解析と硬組織分化に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Glucose Deficiency Altered Gene Expression and affected Hard Tissue Differentiation in Mouse Osteoblast-like cells

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抄録

<p>糖尿病は歯周病の主要なリスクファクターの一つで,Periodontal Medicineに関する全身疾患の一つである。糖尿病の状態を模倣するとき,過栄養すなわち高濃度のグルコース環境を使用することが多い。しかし最近は高齢化に伴う低栄養が問題になることが多いが,低栄養が硬組織再生に及ぼす影響は不明である。本研究ではグルコース欠乏状態におけるマウス骨芽細胞における硬組織分化に及ぼす影響について検討した。</p><p>マウス骨芽細胞様細胞(MC-3T3-E1細胞)は,マウス大腿骨から初代培養で樹立し不死化した細胞を使用し,生理学的コントロールとして100 mg/dLのグルコース濃度のα-MEMを使用し,グルコース欠乏モデルとして0 mg/dLのグルコース濃度のα-MEMを使用した。MC-3T3-E1細胞に対するグルコース欠乏状態でのグルコース代謝に関わる遺伝子発現のスクリーニングを行い,アルカリフォスファターゼの発現と細胞外マトリックスへのカルシウムの沈着について比較検討した。</p><p>Real Time PCR Arrayによる解析では,培養1週では生理学的コントロール群よりグルコース欠乏群のほうが30%減少している遺伝子は8種類あり,なかでも骨芽細胞の分化と生存に関与するThe phosphoinositide-3-kinase-protein kinase B(PI3K/AKT)経路の上流キナーゼの遺伝子であるpdk-1 mRNAについて検討したところ有意に減少していた。PDK-1の阻害剤であるBX-912を添加することでグルコース欠乏群と同様,細胞増殖能および硬組織分化能が低下した。</p><p>これらの結果からグルコース欠乏状態におけるMC-3T3-E1細胞の硬組織分化は,グルコース代謝に関与するPDK-1の減少により細胞増殖能や硬組織分化能が低下することが示唆される。</p>

収録刊行物

  • 日本歯周病学会会誌

    日本歯周病学会会誌 65 (4), 117-124, 2023-12-28

    特定非営利活動法人 日本歯周病学会

参考文献 (20)*注記

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