熟練教師の授業認知過程に関する事例研究

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タイトル別名
  • Case Study on the Process of Expert Teachers’ Cognition

抄録

学級経営の充実を図るにあたって,児童や学級集団,指導状況を的確に理解することが重要である。本研究の目的は,小学校教師が学級経営を中心とした多様な観点から授業をどのように認知しているのか明らかにすることである。3年生を担任する初任教師の算数の授業が360度カメラによって記録され,授業映像を視聴した退職校長2名によって学級経営の観点を中心とした自由な語りが得られた。分析の対象となる語りは,語られた場面(事象)と解釈の内容(種類)の2つの観点によって分類された。事象は授業前に作成された指導案と授業者・学習者の実際の活動をもとにして場面が区切られた。種類は実際に得られた語りをもとにして帰納的に作成された独自のカテゴリが活用された。2名の教師で共通した場面に注目して,同じ解釈がなされた事象(同事象同類認知)と異なる解釈がなされた事象(同事象異類認知)を検討した結果,同事象同類認知の場面では「従事」,「説明・指導法」という学習目標に関連する内容に言及されていた。一方,同事象異類認知に関して,「従事」-「説明・指導法」という原因帰属の違いがみられた場面や,「人間関係」-「説明・指導法」という異なる目標の対立する場面がみられた。教師は教授学習過程を中心とした授業認知をしながら,教授学習過程以外と他の多様な教育過程とを同時に達成する関係や,どちらかの指導過程を優先する対立関係が明らかとなった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299550675083264
  • DOI
    10.34573/jacm.6.0_1
  • ISSN
    24347760
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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