不安の文脈で考えるHPVワクチン副反応騒動とこれから
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- 柳生 一自
- 北海道医療大学心理科学部臨床心理学科
書誌事項
- タイトル別名
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- Future and the Past Confusion in the HPV Vaccine Adverse Reaction in the Context of Anxiety
抄録
2013年4月に子宮頸がん予防ワクチン(以下,HPVワクチン)が小学6年から高校1年生までの女子に定期接種化された.しかし,同時期より接種後の疼痛,けいれん,運動障害,記憶障害など「多様な症状」がメディアに多く紹介され,同年6月厚生労働省が「積極的な接種勧奨の差し控え」を宣言し,接種率は激減した.厚生労働省での議論を経て,2022年4月積極的な接種勧奨が再開されたが,わが国の接種者数は増加しているものの十分とは言い難い.再開後に特段の副反応の報告は増加していないが,接種を控える本人,家族においてはいまだHPVワクチンが危険であると考えている人も少なくない.接種に携わる医師は,本人や家族の不安を傾聴しつつも,責任感をもって正確な情報提供や啓発に努めることが求められる.本論では,本邦のHPVワクチンを巡る経緯とともに,今後の有害事象への対応,接種率向上のために医療者が行えることを議論する.
収録刊行物
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- 小児の精神と神経
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小児の精神と神経 64 (1), 49-56, 2024-04-01
一般社団法人 日本小児精神神経学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390299673818530304
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- ISSN
- 24341339
- 05599040
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可