伐倒くん蒸処理丸太におけるマツノマダラカミキリの生存とその要因

書誌事項

タイトル別名
  • Factors Responsible for Survival of <i>Monochamus alternatus</i> in the Fumigation-treated Pine Logs

抄録

<p>マツノマダラカミキリ(以下,本種)幼虫駆除のために行われる伐倒くん蒸処理において,薬剤投入量の不足や不完全な被覆などによる被覆内のメチルイソチオシアネート(以下,MITC)濃度の低下は殺虫率の低下をもたらす。さらに被害材の地面などとの密着は,材内への有効成分の浸透を阻害し,本種の殺虫効果を低下させる可能性がある。本研究では被覆内で集積山の中心部のほかに,集積山の下部と上部に地面または被覆シートに接触させた試験丸太を配置し,全面被覆式,上面被覆式および薬剤1点散布の上面被覆式による3通りのくん蒸処理を行った。被覆内のMITC濃度の最高値が2.14 g/m3以下であった全面被覆式の1集積山および薬剤1点散布の上面被覆式の3集積山では,処理丸太の樹皮下および蛹室内から生存個体がみられた。これらは集積山の下部で接地または上部で被覆シートに接触した丸太でみられる傾向にあり,成虫まで発育して丸太から脱出できた。マツ材線虫病防除の伐倒くん蒸処理で求められる高い殺虫率を得るには,薬剤の集中散布,被害材の地面や被覆シートとの接触などのMITC濃度の低下要因を避ける必要がある。</p>

収録刊行物

  • 日本森林学会誌

    日本森林学会誌 106 (4), 101-108, 2024-04-01

    一般社団法人 日本森林学会

参考文献 (4)*注記

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