書誌事項
- タイトル別名
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- Comparison of Heat and High-Pressure Stress Response of <i>Lactobacillus plantarum</i> subsp. <i>plantarum</i> and <i>Lactobacillus pentosus</i> Cultivated in Soymilk and MRS Broth
- Comparison of Heat and High-Pressure Stress Response of Lactobacillus plantarum subsp. plantarum and Lactobacillus pentosus Cultivated in Soymilk and MRS Broth
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説明
<p>微生物の増殖は,温度や圧力といった生育環境から受けるストレスや培地組成などによって影響を受けることはよく知られている.加えて,食品中では,共存物質と微生物との相互作用にも影響を受ける.とくに共存物質によって微生物の膜特性が変わることで,加熱や高圧などへのストレス耐性を獲得することが報告されている.大豆系食品においては,大豆由来の脂質成分が細胞膜の組成変化に寄与し,熱および高圧ストレス耐性が向大豆の脂質成分と微生物の細胞膜との関係にはまだ不明瞭な点も多い.そこで本研究では,大豆由来成分共存下の系における微生物生産の最適な制御のための基礎的研究として,豆乳成分が共存している環境で乳酸菌を培養・懸濁し,豆乳中の成分が乳酸菌の熱および高圧ストレス応答にどのように関わっているかをMRS培地による培養と比較することで実験的に検討した.まず,MRS培地および豆乳を添加した培地で培養した乳酸菌2種(Lactobacillus plantarum subsp. plantarum (L. plantarum subsp. plantarum),Lactobacillus pentosus (L. pentosus)の膜の脂肪酸組成に着目し,膜特性を評価し環境因子の影響について検討を行い、次に温度と圧力に対する死滅挙動について評価した.</p><p>MRS培地および豆乳を培地として30°C,48時間培養した場合における乳酸菌2種の脂肪酸組成について検討した.MRS培地で培養した場合,C16:0,C18:0およびC19:0が含まれていた.一方,豆乳培地では,MRS培地と異なりC19:0が含まれていなかった.しかし,豆乳中にほとんど含まれないC14:0は,MRS培地同様に検出された.このことは,培養液の共存物質の変化によって,細胞膜の脂肪酸組成も変化したと考えられた.高温条件下の乳酸菌の死滅挙動について,MRS培地および豆乳培地で培養した乳酸菌2種を回収し,細胞を0.85% NaCl溶液もしくは豆乳に懸濁し,65°Cで加熱処理を施した.高温条件下の乳酸菌の死滅曲線は,いずれの条件においても一次反応式で記述された.熱死滅速度定数に乳酸菌の種類や培地による違いは顕著ではなく,細胞膜の脂肪酸組成と熱死滅速度定数における相関は認められなかった.乳酸菌の場合において,熱ストレスでは,豆乳を含む培地で培養した影響が現れなかったと考えられた.</p><p>300-450 MPaの高圧条件下の乳酸菌の死滅挙動について,MRS培地及び豆乳培地で培養した乳酸菌2種を回収し,細胞を0.85% NaCl溶液もしくは豆乳に懸濁し,各種圧力条件下で加圧処理を施した.高圧条件下の乳酸菌の死滅曲線は,いずれの条件においても一次反応式で記述された.乳酸菌2種において,0.85% NaCl溶液中での高圧条件下では,豆乳培地ではMRS培地と比較して耐圧性が低くなることが示された.しかし,豆乳中での高圧条件下では,豆乳培地で培養した場合においても,耐圧性が高くなる傾向が認められた.このことから,培養液の共存物質によって細胞膜の膜特性が変化し,高圧条件下での死滅挙動に影響を与えたものと考えられた.そこで,各培地条件での死滅速度定数の圧力依存性を解析した.全ての条件について,死滅速度定数の自然対数と処理圧力との間に直線関係が認められたため,前指数因子および活性化体積を算出した. L. plantarum subsp. plantarumの死滅反応において,豆乳共存下では0.85% NaCl溶液中よりも大きな体積変化が必要であることが示唆された.一方,L. pentosusの死滅反応では,反対の傾向が認められた.L. plantarum subsp. plantarumは,L. pentosusと比較して,MRS培養において活性化体積が小さく前指数因子は大きいのに対し,豆乳培養では活性化体積が大きく前指数因子は小さい傾向を示した.これらの結果から,生育する環境の影響の違いは,微生物の種類によって多様であることが示唆された.いずれの条件においても前指数因子の自然対数と活性化体積には直線関係が認められたことから微生物の種類が異なっていても死滅反応は本質的には同様の反応である可能性が考えられた.</p>
収録刊行物
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- 日本食品工学会誌
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日本食品工学会誌 25 (2), 25-33, 2024-06-15
一般社団法人 日本食品工学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390300533226894976
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- NII書誌ID
- AA12076107
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- ISSN
- 18845924
- 13457942
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- NDL書誌ID
- 033589732
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- OpenAIRE
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可