波長掃引光干渉断層装置 (SS-OCT) による歯科材料の光屈折率の測定

  • 吉川 和子
    昭和大学歯学部歯科保存学講座美容歯科学部門
  • 片岡 有
    昭和大学歯学部歯科保存学講座歯科理工学部門
  • 小林 幹宏
    昭和大学歯学部歯科保存学講座美容歯科学部門
  • 山口 麻衣
    昭和大学歯学部歯科保存学講座美容歯科学部門
  • 小川 弘美
    昭和大学歯学部歯科保存学講座美容歯科学部門
  • 宮﨑 隆
    昭和大学歯学部歯科保存学講座歯科理工学部門
  • 真鍋 厚史
    昭和大学歯学部歯科保存学講座美容歯科学部門

書誌事項

タイトル別名
  • Refractive Index Measurement of Dental Materials by Swept-source Optical Coherence Tomography

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説明

<p> 目的 : 歯科材料の屈折率計測に対するSS-OCTの可能性に加え, メタルフリー修復材料の屈折率に関しての検討を行った.</p><p> 材料と方法 : 10×10×1.0mm (縦×横×厚み) のESTELITE BLOCK (EB), IPS Empress CAD (IEP), IPS e-max CAD (IEM), VITA SUPRINITY for KaVo ARCTICA (VS), NACERA pearl 1 (NA) の試料 (5種×5個, 合計25個) を用意した. それぞれの試料に, 任意の計測ポイント8点をマークした. Optical path length (OPL) 法により得られた光学的距離 (OPL) とactual thicknessより, それぞれ屈折率を算出した. それぞれの屈折率の平均値を材料ごとのデータとし統計分析を行った.</p><p> 結果 : 従来法であるアッベ屈折計 (KPR-30A, 島津製作所) にて計測が不可能であったNAの屈折率は2.227 (±0.023) であった. NAはほかの材料の屈折率に比べ有意な値を示した (p<0.05). ほかの材料は1.5近傍の数値を示した. IEM>VS>EB>IEPの順に屈折率が減少していく傾向が認められた. 回帰分析ではすべての試料が負の相関を示した.</p><p> 結論 : SS-OCTを利用して, OPL matching methodにより, 代表的なメタルフリー修復材料の屈折率の測定を行い, 以下の結論を得た. 1. 従来法のアッベ屈折計では屈折率を計測することができないNAを含む, すべてのメタルフリー修復物の屈折率計測が可能であった. 2. 4種類の歯冠色材料の屈折率は約1.5であったが, NAは約2.2と有意に大きい値を示した. 3. すべての材料において, actual thicknessと屈折率の間に負の相関が認められた. 4. OCTの画像深度は組織の透光性に左右され, 照射光は表面から深層に進むにつれ減衰する. 本研究で実施した回帰分析の結果においても, SS-OCTで計測した屈折率は厚みに支配されることが確認された. 5. 事前に歯冠修復材料の屈折率を計測してデータ化しておくことにより, チェアサイドで簡便に厚みを計測できる可能性が示唆された. 6. 本研究により, SS-OCTの画像診断技術にとどまらない幅広い臨床応用の可能性が示唆された.</p>

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