経口投与サリチル酸およびアスピリンのラットに対する催奇形作用と胎仔移行に関する研究

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  • STUDIES ON TERATOGENIC EFFECT OF SALICYLIC ACID AND ASPIRIN IN RATS AS RELATED TO FETAL DISTRIBUTION

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サリチル酸誘導体の実験的催奇形作用に閉しての報告は多数なされているが、サリチル酸そのものについてはあまり検討されていない。今回はサリチル酸の経口投与による催奇形性についてアスピリンと比較検討した。ウィスター系ラット1群20匹を用い、サリチル酸、アスピリンの投与量は75、150および300mg/kgとし、妊娠8日から14日まで毎日1週間、胃ゾンデを用いて強制的に経口投与した。両薬物とも、300mg/kg群で投与開始後体重増加が抑制され、また流艇、立毛等が観察された。中毒症状はサリチル酸群において強く、死亡3例、アスピリン群では比較的軽度で、死亡は1例のみであった。妊娠20日目における解剖所見では、サリチル酸群では生存胎仔0、アスピリン群では1母体から4例が得られたのみで、その体重は対川群に比べて有意に低い値をかした。150mg/kg群では、平均同腹行数においてサリチル酸群は小さく、また成長押側が観察されたが、アスピリン群の平均同腹行数は対照群とほぼ同数であった。しかし、それらの体重は有意に低い他を示した。75mg/kgでは両薬物投与群とも対照群との間に特に差は認められなかった。特に商用量群において着床痕、胎盤遺残率が高く、早期死亡の所見が得られた。生存胎仔の外形異常所見として、アスピリン300mg/kg群の4例中1例のみが正常で、他の3例は脳脱、眼瞼裂、仮性巨舌症などを併発していた。150mg/kg群においても脳脱例が見られ、さらに娠幹、四肢にも柵々の異常が観察され、その発生率はサリチル酸群において27.8%、アスピリン群では12.7%であった。75mg/kg群における異常発止率は著しく低く、サリチル酸群1.8%、アスピリン群0.6%であった。対照群には異常例は認められなかった。臓粋における異常発生率はサリチル酸150mg/kg群で12.7%、同用上着=のアスピリン群で5.6%であったが、75mg/kg郡ならびに対照群には異常例は発見されなかった。骨格系においても商用性群では種々の異常が。認められ、サリチル酸150mg/kg群の発生率は65.7%、アスピリン群32.5%であった。75mg/kg群では、サリチル酸群において2.5%の発止が見られた以外、アスピリン群では対川群と同様発生率は0であった。しかし第14肋骨の発生は対照群に比較し投与群において高率に見られ、しかも用量関係が、忍められ、さらに150mg/kg群においては第15肋骨の存在例も棚察された。育成実験において、而薬物とも300mg/kg群では新生仔は得られなかった。75、150mg/kg群ではほぼ同数の期生仔が得られたが、生後3週目における育成率は150mg/kg群ではともに70%以下となり、生後8週目、サリチル酸150mg/kg群、アスピリン75および150mg/kg群では60%以下に低下した。外形、臓器、骨格検査においては、胎仔における際と同様の傾向が観察され、両薬物の催奇形作用に本質的に差異のないことがうかがわれた。母体に投与したサリチル酸の分布を調べた実験で濃度としてもっとも高い値を示したのは血清、もっとも低地は脳で得られた。その他の臓器と胎仔中の値はほほ同程度で・サリチル酸は比較的良く胎仔に移行することが認められ、サリチル酸の胎盤通過と関連してこれら薬物の催奇形作用機序について考察を加えた。

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