山菜ノビルのおいしさについての評価

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タイトル別名
  • Study on palatability of a wild vegetables, <i>Allium macrostemon </i>Bunge

抄録

【目的】日本各地に自生しているネギ属の多年草ノビル(野蒜、Allium macrostemon Bunge)は、古くから山菜として食されてきたものの、調理特性についての報告はほとんどみられない。多種多様な野菜類が市場に出回っている現代において、日本で古来より食されてきたノビルについても食材としての価値があると考えた。大学内研究所『すくすく野蒜研究所』では日本全国から採取したノビルについて、農作物化をめざし、食材としての潜在的能力を引き出すための研究が進められている。本研究では、ノビルの嗜好性を明らかにするために、大学生を対象とした官能評価を実施し、ノビルのおいしさを評価した。<br>【方法】ノビルは研究所にて栽培され、5-6月の間に収穫されたもの、及び収穫後に風通しの良い冷暗所にて保存された鱗茎部分を用いた。試料は、ノビル全体を茹でたもの、保存された鱗茎部分を茹でたもの(茹で時間1・2・3分)、全体を刻み肉団子にしたもの(0・3・12%添加)とした。それぞれ大学生(n=18、19)を対象とした官能評価(採点法、順位法)を行い、同時に実施したアンケート調査の回答もあわせて、ノビルの嗜好性を検討した。<br>【結果】まず、ノビル全体を茹でた試料は、「食感」は普通であったものの、「香り」、「味」、「総合評価」はやや悪い評価がみられた。次に、鱗茎部分を茹でた試料は、「総合評価」について茹で時間が長いほど良い評価がみられ、これは「辛味」や「後味」の強さの評価と関係がみられた。さらに、肉団子試料は、「肉の臭み」や「脂っこさ」がノビル添加により弱まる評価がみられた。以上より、ノビルの特有の風味がおいしさに影響しており、この風味の軽減または活用により食材としての利用が促進できる可能性が考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238080527744
  • NII論文ID
    130007479298
  • DOI
    10.11402/ajscs.30.0_94
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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