微細米粉を用いたカステラの製菓特性

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タイトル別名
  • The confectionery characteristic of castella with fine rice flour

抄録

【目的】カステラは南蛮菓子として長崎に伝えられ、現在では日本の伝統的な菓子であるがその研究は少ない。著者らは既報における微細米粉を用いたスポンジケーキの検討を踏まえ、今回はカステラがきめの細かいスポンジ状であるが食感は弾力があることに着目して、微細米粉(以下米粉)を用いた場合の特性を、小麦粉(強力粉、薄力粉)を用いたものと比較した。<br>【方法】配合割合は、卵:グラニュー糖:水飴:粉を2.1:1.8:0.4:1とした。粉として、米粉はあさひの夢(気流粉砕法・波里製)、小麦粉はカメリア及びバイオレット(日清製粉製)を用いた。調製した生地500gを150mm×150mm、高さ100mmの厚紙型に注ぎ入れ、200℃のガスオーブンに設置した。焼成初期にスパテラを用いて泡切りを3回行った後、表面が焦げないように紙蓋をし、更に15分30秒間焼成した。その後150℃で90分間焼成し、室温で30分間放冷した。生地の密度、熱分析、製品の質量、高さ、色を測定し、圧縮試験を行い比較検討した。<br>【結果】米粉カステラ生地の密度は、今回の調製方法では0.54±0.04g/cm3であった。生地の熱分析結果から、米粉生地の糊化開始温度、吸熱ピーク温度、糊化終了温度は強力粉、薄力粉生地よりも有意に高温であった。エンタルピー変化には粉の種類における有意差は認められなかった。製品について、高さは粉の種類における有意差はなく、質量は米粉と強力粉はほぼ同じであった。色は上面、切断面ともに、粉の種類における顕著な差は認められなかった。物性測定では硬さにおいて粉の種類における差は認められなかった。以上の結果より、米粉を用いたカステラでは、小麦粉と同じ配合割合、同じ調製方法によって、ほぼ同等の外観と軟らかさのものが作製できることが示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238081002496
  • NII論文ID
    130007479290
  • DOI
    10.11402/ajscs.30.0_77
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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