P-080 排痰管理にカフアシストを導入し在宅復帰に至った、筋萎縮性側索硬化症患者の一例

説明

<p>【はじめに】</p><p>カフアシストは高い陽圧をかけた後、瞬間的に陰圧をかけることで、呼気流量を発生させ咳を代用し排痰補助する機械である.今回、吸引での痰除去困難な筋萎縮性側索硬化症(以下:ALS)患者に対してカフアシストを導入した.これにより吸引での痰除去が可能となり、自宅退院に至ったため以下に報告する.</p><p>【症例紹介】</p><p>66 歳男性.肺炎にて入院.2 年前にALS と診断.ALSFRS-R:14/48 点.要介護2.肺炎により入退院繰り返すも、ADL 介助下で在宅生活を送っていた.在宅での呼吸管理として、非侵襲的陽圧換気(以下:NPPV)を使用していた.自己排痰は困難、在宅用吸引機を使用していた.本人、妻より挿管、気管切開希望なし.発表に際し、本人、家族に同意を得た.</p><p>【経過】</p><p>入院4 病日、痰での気道閉塞.吸引での痰除去困難、気管支鏡を第14 病日まで継続.理学療法は第6 病日より開始.初回時、意識清明.NPPV を酸素3L/ 分で使用、SpO2:96%、呼吸不規則であり、努力性であった.四肢筋力はMMT にて3 ~4、末梢優位に低下あり.呼吸苦により離床拒否、床上中心に介入.第38 病日にカフアシスト2回/ 日で導入、家族指導開始.介入時に呼吸介助と併用し行った.同調と家族実施時のリークが問題となった.同調に対し、マスクを胸に当てタイミングを学習、リークに対しては、家族間でのフィッティングを行った.第48 病日より夜間吸引回数は減少.第50 病日、見守りで妻が実施開始.第86 病日、自宅退院となった.退院時、NPPV 酸素3L/ 分で使用.起居起立軽介助、端座位自立、歩行は介助にて5m、呼吸苦自制内で可能となった.</p><p>【考察】</p><p>本症例の在宅復帰困難の要因として、在宅吸引器での痰除去困難が挙げられた.カフアシスト導入後、吸引での痰除去が可能となり、呼吸苦減少し離床意欲向上、在宅復帰が達成された.排痰管理にカフアシストは有用であるが、在宅での適切な使用に向けて在宅介助者への指導が重要である.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238099407488
  • NII論文ID
    130007623564
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.36.0_180
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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