分岐鎖アミノ酸の術前投与は中年期糖尿病ラットにおける肝切除術後の予後を改善する

書誌事項

タイトル別名
  • Preoperative Administration of Branched-chain Amino Acids Improves Prognosis After Hepatectomy in Middle-aged Rats with Diabetes Mellitus

この論文をさがす

抄録

<p>肝切除術の適応となる肝細胞癌を合併した高齢糖尿病患者は術後肝不全をきたすため予後が悪い。分岐鎖アミノ酸(BCAA)の周術期投与の有用性は報告されているが,糖尿病を合併した高齢患者に対するBCAAの術前投与の有用性は報告されていない。したがって,本研究では,糖尿病を合併した中年期肝切除モデルラットを用いて,BCAAの術前投与の有用性を検討した。中年期フィッシャー系雄性ラットにストレプトゾトシンを投与して糖尿病を発症させた動物モデルを用いた。プロトコールは,術前7日間にBCAAを投与した群と対照群の2群に無作為に分け,2/3肝切除術を実施した。術後2日後に生存率,体重減少率,血糖値,アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)濃度,アラニンアミノ基転移酵素(ALT)濃度,エンドトキシン濃度,腫瘍壊死因子-α(TNF-α)濃度,インターロイキン-6(IL-6)濃度および残肝におけるブロモデオキシウリジン(BrdU)による標識率を評価した。肝切除術48時間後の生存率は,BCAA群が対照群に比較して有意に高値であった(91 vs 54%)。体重減少率は,BCAA群が対象群に比較して有意に低値であった(9.2±2.7 vs 13.0±3.7%,means±SD)。血糖値,AST濃度,ALT濃度,エンドトキシン濃度,TNF-α濃度,IL-6濃度は両群間に有意な差は見られなかった。BrdU標識率は,BCAA群が対照群に比較して有意に高値であった(14.5±1.7 vs 11.7±0.8%,means±SD)。本研究では,BCAAの術前投与は中年期糖尿病ラットでの肝切除術後の予後を改善することを明らかにした。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ