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- 神澤 佳子
- *本学特任専任講師
書誌事項
- タイトル別名
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- Translation of Consumptive Society and the Role of Consumer Center by Examining Consumerʼs Consultation in Japan. Part 1
- 消費者相談から見る消費社会の変容と消費生活センターの役割(その1)相談統計と設立当初(1970年代)の消費者相談の検討
- ショウヒシャ ソウダン カラ ミル ショウヒ シャカイ ノ ヘンヨウ ト ショウヒ セイカツ センター ノ ヤクワリ(ソノ 1)ソウダン トウケイ ト セツリツ トウショ(1970ネンダイ)ノ ショウヒシャ ソウダン ノ ケントウ
- Investigation of the Consumerʼs Consultation in 1970's and Its Statistics.
- -相談統計と設立当初(1970年代)の消費者相談の検討-
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抄録
<p>要 旨 本稿では、消費生活センターの設立経緯と消費生活相談統計及び奈良県消費生活センターの設立初期(1970年代)の相談事例の検討結果について報告する。消費生活センターは1965年に兵庫県に最初に設置され、苦情相談、商品テスト、消費者教育など消費者団体が行っていた事業を取り込み、行政サービスとして提供するようになった。現在、消費生活センターは全国に724カ所、年間相談件数は852,649件である(2012年度)。40年間の相談統計からは,件数は32倍に増加し、相談内容は問い合わせ相談から苦情相談へ、商品からサービスへ、安全品質問題から契約取引問題へと中心が移ったことがわかった。商品の安全品質に関する情報を求める相談から、契約取引に関する紛争解決の支援を求める相談へとシフトしている。消費生活センター設置初期の1970年代の相談事例からは、家庭の主婦が日常生活の疑問について問い合わせる相談が多数を占め、消費生活センターは商品テストを行うなどして「科学的」根拠に基づく情報提供を行っていた。そこには、合理的に商品選択のできる「賢い消費者」を育成するという教育的な意図がうかがわれる。企業に対しては事業活動の適正化を促す指導的な働きかけを行っていたという特徴が見いだされた。</p>
収録刊行物
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- 甲子園短期大学紀要
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甲子園短期大学紀要 32 (0), 37-49, 2014-03-25
学校法人 甲子園短期大学
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キーワード
- 相談事例の検討は、設立初期の1970年代から、1980
- 年代、1990年代、2000年代以降に区切って行う。今回
- 5)施設として展示ホール、資料室、相談室、実習室、会議室を備えること
- この答申を元に、1965年11月に神戸市三宮に「神戸生活科学センター」が開設されたのである。
- 消費生活センターの主な事業は、消費生活相談、消
- 表2
- 国民生活センターの全国統計とPIO-NET統計の対象の比較
- 総括すると、相談件数は1970年から
- 2012年の42年間で、対前年比平均112%で増加し続け、1970年度26,427件から2012
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- 住居品
- 電子ジャー
- 品質
- 期待はずれだったが実情は?
- 商品テスト
- 使用上の注意点の情報提供
- いくつかの問題点があるので留意が必要。
- ごはんにニオイがつく、黄味がかる、つゆがつく時の対処法の情報提供
- 16
- 湯沸かし器
- 安全
- N社の大型湯沸かし器を使用しているが、白灰のようなものが発生し、青さびの入ったしずくが落ちる。害はないか。
- 消費者に原因物質の説明メーカーに連絡
- 硫酸銅と緑青は有害である。メーカーは構造的な改良が必要である。
- メーカーが相談者宅に出向いて調査と説明。日常の使用上の注意について詳しく情報提供。
- 38
- 衣服
- ワンピースのクリーニング
- ワンピースをクリーニングに出したら白い斑点ができた
- 余り布なくテストできない
- 原因推測
- 原因を3点あげ、消費者の使用時に原因があると推測
- クリーニング前の点検を助言。
- 39
- セーター
- 2回の洗濯で首が入らなくなった
- メーカーから事情聴取と調査依頼
- 製造加工ミスによる
- 代替品提供
- 59
- その他
- SF商法のヘルスチェアー
- 契約取引
- 返品したい。販売に問題あるのでは?
- 商品の正当性を調査
- 販売方法に注意するように。自主交渉で解決。
- 60
- 自動車用品
- (排出ガス減少装置)
- 広告表示
- A社マークⅡペーパーインジェクター装置には、カタログ表記のような効果があるか調べてほしい。
- 国民生活センター資料参照、運輸省、東京都公害研究所等から情報収集
- 効果は期待できないうえ、ネズミ講方式の販売方法をとっている。
- 情報提供
- 3.調理の化学テスト
- 調理法による栄養価テスト、冷凍物の解凍テスト
- 繊維関係
- 1.成分テスト
- 繊維識別試験、繊維混用率試験
- 2.物理テスト
- 防しわ試験、引き裂き試験、織物密度試験、収縮率試験、引張り試験、可燃性試験、摩耗試験
- 今回検討した1970年代の消費生活相談では、食料品や日常生活用品の安全性や品質に関する相談が多く、それに対して消費生活センターではそのための設備や技術者を配置し、商品テストを行うなど、「科学的な根拠」に基づく情報提供を行っていた。消費者自身も商品の品質や表示を批判的に見ており、自分自身で確認する姿勢が見られた。消費生活センターは、主婦を対象に「科学的、合理的な商品選択ができる消費者」の育成を目指しており、企業に対しては適正な企業活動
- 6)
- 国民生活センター編「消費者運動50年~20人が語る戦後の歩み~」1996年3月
- PP.6-17
- 7)
- PIO-NET(パイオネット)とは、「全国消費生活情報ネットワーク・システム」の略称で、国民生
- 総務省「家計調査年報(二人以上の世帯)」平成16年
- 国民生活センター編「消費者運動50年~20人が語る戦
- 後の歩み~」1996年3月
- 国民生活センター発行「消費生活年報」1988年~2013
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390565134829965056
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- NII論文ID
- 110009752694
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- NII書誌ID
- AN00082421
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- ISSN
- 24340251
- 0912506X
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- NDL書誌ID
- 025377743
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可