日本の生活保護制度における「自立」言説の再検討――1940~1950年代の「社会保障制度審議会」を構成したアクターの言説を中心とする――

  • 狩谷 尚志
    一橋大学大学院社会学研究科(博士後期課程)

書誌事項

タイトル別名
  • Discourse Formation and Characteristics of Self-reliance in Japan’s Public Assistance System: Focusing on Actors that Constituted the “Council of Social Security System” in the 1940s and 1950s
  • ニホン ノ セイカツ ホゴ セイド ニ オケル 「 ジリツ 」 ゲンセツ ノ サイケントウ : 1940~1950ネンダイ ノ 「 シャカイ ホショウ セイド シンギカイ 」 オ コウセイ シタ アクター ノ ゲンセツ オ チュウシン ト スル

この論文をさがす

抄録

<p>本研究は,1940~1950年代にかけて「社会保障制度審議会」を構成した政策主体(アクター)の「自立」言説を再検討することによって,生活保護制度へ「自立」が制度化された背景に,以下の三つの言説上の潮流が存在したことを明らかにした.第一に,労働市場で活動を行い経済的な自助を達成している状態を「自立」と定義する立場.第二に,労働市場もしくは民間社会福祉施設にて,何らかの活動を行っている状態を「自立」としたうえで,個人をそのような場所へと統合する必要を主張した立場.第三に,個人が日常生活を営むうえで必要な所得を備え,特定の施設外での活動を行うことができる自由を有した状態を「自立」と定義した立場である.このような言説分析を踏まえ,「自立」概念の両義性を指摘した.また,各アクターの認識に基づく「自立」概念の歴史的発展と,それらアクターの相互関係による福祉政策の形成という二つの仮説を提示した.</p>

収録刊行物

  • 社会福祉学

    社会福祉学 61 (3), 14-27, 2020-11-30

    一般社団法人 日本社会福祉学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ