セディメント・ミックスバイオフィルムを有する底部境界モデル培養系の確立と硫化物動態

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タイトル別名
  • Laboratory reconstruction and nearby sulfide dynamics of a model benthic boundary layer containing sediment-mixed biofilm

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抄録

海水と底質の境界のモデル培養系を作成し,微生物集合体のセディメント・ミックスバイオフィルムを再現して境界域の硫化物と微生物の動態を調べた。底質を栄養顆粒(魚類初期用飼料)と添加物(有孔虫石灰岩粉末)と共に海水を入れた容器で静置培養を行い,液体表面にバイオフィルムを分離形成した。このバイオフィルム破砕物を用いて有酸素の静水環境で培養を行い,容器底面にセディメント・ミックスバイオフィルムを形成した。一方,ナイロンメッシュを用いて水分を含む底質のモデル培養系を構成して,バイオフィルム破砕物と栄養顆粒と添加物と共に培養を行った。モデル底面表面にバイオフィルムが形成し,モデル底面下部の海水に硫化物が蓄積した。この硫化物はモデル底面のバイオフィルムを透過して,モデル底面直上にも蓄積した。この時,モデル底面の直上に白濁層が形成した。白濁層は浮遊微生物を含み,細胞内に硫黄粒子を有する硫黄細菌Arcobacter sp. が主であった。本研究のモデル培養系は,天然のバイオフィルムを有する底部境界でみられる底面直上の硫化物動態とよく一致する特徴を有していた。

収録刊行物

  • La mer

    La mer 55 (3-4), 73-88, 2017

    日仏海洋学会

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