還元型コエンザイムQ<sub>10</sub> による臨床効果(特集 「バイオファクターについて考える~生合成・代謝と機能性発現機構を再考する~」(第71 回大会シンポジウムⅠ))

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical efficacy of the reduced form of coenzyme Q<sub>10</sub> (ubiquinol)
  • 特集 バイオファクターについて考える : 生合成・代謝と機能性発現機構を再考する(第71回大会シンポジウム) 還元型コエンザイムQ₁₀による臨床効果
  • トクシュウ バイオファクター ニ ツイテ カンガエル : セイゴウセイ ・ タイシャ ト キノウセイ ハツゲン キコウ オ サイコウ スル(ダイ71カイ タイカイ シンポジウム) カンゲンガタ コエンザイム Q ₁ ₀ ニ ヨル リンショウ コウカ

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抄録

コエンザイムQ10の研究には、長く酸化型コエンザイムQ10(ユビキノン)が使われていたが、活性型である還元型コエンザイムQ10(ユビキノール)の工業生産が開始された2000年以降はユビキノールを用いた臨床研究が行われるようになった。<br>  ユビキノールが関連する疾患には、体内濃度の低下が関連していることが多い。ユビキノール生合成遺伝子の一塩基多型も疾患との関連が示されているが、それら疾患の半分近くが脳神経系という特徴がある。パーキンソン病患者に対するダブルブラインド試験では、300mg/dayの摂取量でドーパミンとの併用効果が示された。一方、健常人を対象としたダブルブラインド試験は100~150mg/dayで行われている。疲れがちな健常者を対象とした試験では、疲労感や眠気の改善、意欲の向上が認められた。軽い季節性のアレルギー様の症状を持つ健常人に対しては、眼や鼻のかゆみと睡眠の改善が示された。<br>  長期摂取による安全性と効果を評価している地域密着型臨床研究では、長期摂取時の安全性と共に自覚的QOLや認知機能の改善が示唆された。更に摂取を中断することによって血中濃度と共に自覚的QOLが低下することも示唆された。<br>  このようにユビキノールは幅広い臨床症状の改善が示唆されており、その活用が期待できる。

収録刊行物

  • ビタミン

    ビタミン 94 (5-6), 319-323, 2020-06-25

    公益社団法人 日本ビタミン学会

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