非ヒト霊長類モデルを用いたワクチン・アジュバントの免疫毒性研究
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- 山本 拓也
- 医薬基盤・健康・栄養研究所 免疫老化プロジェクト
書誌事項
- タイトル別名
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- Immunotoxicology assessment of vaccines and adjuvants in non-human primate model
抄録
<p> 現在開発段階にある感染症ワクチンの代表例としては、旧来型の生ワクチンや全粒子不活化ワクチンに加え、COVID-19ワクチン開発でも注目されているような病原体由来の一部の核酸またはタンパク質を抗原として用いるコンポーネントワクチンが挙げられる。一般的にコンポーネントワクチンは、旧来型ワクチンと比較すると安全である反面、抗原性が低いことはよく知られている。それゆえ、免疫原性を高める為に様々な工夫がなされている。</p><p> 免疫原性を高めるために一般的によく用いられる方法は、アジュバントを抗原に添加する方法である。ただ、現在開発されている多くのアジュバントは、自然免疫に関する受容体(PRRs)に認識されることにより、抗原提示細胞を活性化し、それら細胞のサイトカイン産生能や抗原提示能を促進させることでアジュバント活性を示すことが知られている。一方、当然のことながら自然免疫の過剰な活性化を誘導してしまうリスクが懸念される。そのため、新規アジュバント添加型コンポーネントワクチンの開発を目指す場合、有効性と安全性の両面から厳しく検証する必要がある。このような背景を踏まえ、我々は前臨床試験での非ヒト霊長類サルモデルを用いた解析を重要視している。理由としては、PRRs発現様式を含めてサル免疫細胞はヒトとほぼ同様の細胞表面マーカーを用いて解析することが可能であり、免疫学的に非常にヒトに近縁であることが挙げられる。またHIVをはじめとする多くの感染症モデルにおいて、ヒトに極めて近い病態を示し、また病態に関連する免疫反応もヒトと同様であることが多数報告されている。そのため、ワクチン・アジュバント開発のための評価モデルとして、非常に有用であると考えている。</p><p> 本発表では、我々が行っている非ヒト霊長類を用いた最近の研究内容を紹介し、免疫毒性学的視点に基づくワクチン・アジュバント開発の今後を議論したい。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 48.1 (0), S24-5-, 2021
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390570486221110912
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- NII論文ID
- 130008073907
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可