運動誘発電位を用いたラットにおける催痙攣ポテンシャルの評価
書誌事項
- タイトル別名
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- Evaluation of Convulsion Potential in Rats Using Motor Evoked Potentials
抄録
<p>薬物誘発性痙攣は医薬品開発に多大な影響を及ぼす毒性所見のひとつであり、痙攣ポテンシャルを持つ化合物の開発には痙攣のメカニズム解明を含めた適切な評価が必要である。薬物誘発性痙攣の主要な要因としてはGABA受容体の阻害やグルタミン酸受容体の刺激がよく知られているが、これらの作用をin vivoの表現型で確認することは難しい。本研究では機能観察総合評価法(FOB)及び運動誘発電位(MEP)によってGABA及びグルタミン酸作動性ニューロンへの影響を含めた中枢神経系の活動を評価し、催痙攣ポテンシャルの検出を試みた。痙攣薬としてはカイニン酸、ペンチレンテトラゾール及びピロカルピンを、非痙攣薬としてバクロフェンをそれぞれ用いた。最初にSDラットに各化合物を皮下投与し、各薬物による行動の変化及び症状を確認した。すべての薬物で何らかの影響がみられたが、その表現型は様々であり、痙攣前駆症状としての共通性は見出せなかった。次に麻酔下のラットに各薬物を腹腔内投与し、10分後に大脳運動野に2連発の電気刺激(条件及び試験刺激)を1-15 msecの間隔で与え、MEPを記録した。全ての痙攣薬ではGABA作動性ニューロンに関連するといわれている刺激間隔3 msecで誘発されるMEPの抑制が阻害された。グルタミン酸作動性ニューロンに関連するといわれている刺激間隔11 msecでのMEPの促通については、ピロカルピンで阻害され、その他の痙攣薬では明確な変化はみられなかった。一方で投与後60分まで単独刺激によるMEPを経時的に記録したところ、全ての痙攣薬で用量依存的なMEPの上昇が持続的に認められ、グルタミン酸作動性ニューロンの関連が示唆された。バクロフェンではMEPに何ら変化はみられなかった。これらの結果から、電気刺激後のMEP測定によって痙攣ポテンシャルをその機作を含めて評価できる可能性が示唆された。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 48.1 (0), P-34-, 2021
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390570486221776896
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- NII論文ID
- 130008073725
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可