6-メルカプトプリンに対するマウスの感受性時刻差

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Chronotoxicity of 6-mercaptoprine in mice

抄録

<p>【目的】急性リンパ性白血病(ALL)や炎症性腸疾患(IBD)等に使用される6-メルカプトプリン(6-MP)製剤は、日本においては散剤のみが使用されている。投薬時には患者の体重に合わせて分包する必要があるため、調剤時の薬剤師への曝露による健康障害が全国的に問題視されている。我々は毒性発現と概日リズムに着目した時間毒性学を展開し、薬毒物の毒性の強さが投与時刻によって大きく異なることを示している。そこで本研究では、投与時刻の違いによる6-MPの毒性強度の相違についてマウスを用いて検討した。</p><p>【方法】雄性ICRマウス(6週齢)を4群に分け(5匹/群)、6-MPを300 mg/kgの投与量で1回腹腔内投与した。投与時刻は6時間ごとにずらした4点(5時、11時、17時、23時)とし、投与14日後までの体重変動及び生存率を調べた。</p><p>【結果】6-MP投与3日後までは食欲の減退に伴うと思われる体重減少が認められ、投与日(0日)からの体重減少率は23時投与群で最大であり、次いで17時投与群であった。投与14日後までの体重変動は、5時/11時投与群よりも17時/23時群の体重減少率が総じて大きいという結果が得れらた。個体死亡は投与7日後から観察され始め、17時投与群の致死率が最も高値(80%)を示し、6-MPの毒性は夕刻~夜間にかけて強く発現する可能性が示された。</p><p>【考察】6-MPの分包は医師の処方箋に応じて行うことから、昼夜を問わず行う必要がある。一方で、6-MPの投与時刻を変えると6-MPの有効性に差が認められるとの臨床報告がある。このことは、6-MPへの曝露時刻によっては、薬剤師への健康障害が出やすい/出にくい時間帯が存在することを示唆する。本研究のこの様な検討は、薬剤師をはじめとした医療従事者への6-MP曝露に対して、臨床現場でより安全に取り扱いできる時間帯を提示するための基盤となると考える。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390570486222899328
  • NII論文ID
    130008073661
  • DOI
    10.14869/toxpt.48.1.0_o-19
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ