<i>gpt</i> deltaラットを用いた1,3-dichloro-2-propanolの肝発がん機序の検索

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タイトル別名
  • Investigation of the mechanisms underlying hepatocarcinogenesis of 1,3-dichloro-2-propanol using <i>gpt</i> delta transgenic rats

抄録

<p>1,3-Dichloro-2-propanol(1,3-DCP)は食品中に含まれる可能性のあるクロロプロパノール類の一つで、塩酸を用いた酸加水分解植物性たん白を製造する過程で副生することが知られている。1,3-DCPはラットにおいて肝臓を含む複数の臓器で発がん性を有するが、in vitro遺伝毒性試験はいずれも陽性を示すものの、in vivoの骨髄小核試験および肝UDS試験は陰性であることから、発がん過程における遺伝毒性機序の関与は未だ明らかになっていない。本研究ではレポーター遺伝子導入動物であるgpt delta ラットを用いて、1,3-DCPの発がん条件下における標的臓器でのin vivo変異原性を検討した。6週齢雄性Wistar Hannover系gpt deltaラットに1,3-DCPを発がん性試験と同一の0、27、80および240 mg/Lの濃度で13週間飲水投与した。投与終了後、全身諸臓器の病理組織学的検索、肝臓のgpt assayおよびGST-P免疫組織化学的染色による肝前がん病変の検索を実施した。病理組織学的検索の結果、小葉中心性の肝細胞肥大および鼻腔移行上皮の壊死が認められた。gpt assayの結果、1,3-DCP投与群のgpt変異体頻度は低用量群から対照群に比して有意な高値を示し、用量依存的に増加した。変異スペクトラム解析の結果、G:C-A:T transitionおよびA:T-T:A transversionの変異頻度が有意に増加した。一方、GST-P陽性巣の数および面積において有意な変化は認められなかった。以上より、1,3-DCPのラット肝発がん過程には突然変異が寄与していることが示唆された。一方、発がん標的臓器である肝臓では顕著な病理組織学的変化は認められず、前がん病変の形成も見られなかった。今後、前がん病変形成に関わる因子の検索を行いその原因も併せて報告する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390570486222914560
  • NII論文ID
    130008073737
  • DOI
    10.14869/toxpt.48.1.0_p-19
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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