高分子ポリマーであるセベラマー塩酸塩の誤嚥により呼吸困難を来した1例

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  • A Case of Aspiration of High-molecular Polymer Sevelamer Hydrochloride That Caused Dyspnea

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抄録

<p>背景.リン吸着薬であるセベラマー塩酸塩は高分子ポリマーであり,水溶液中でゲル状に膨張し体積は約8倍にも増加する.また,セベラマー結晶は粘膜に沈着し,粘膜障害を来し得る.症例.67歳男性,慢性腎臓病のためX-4年7月より維持透析が行われていた.X年6月上旬,朝食前にセベラマー塩酸塩(フォスブロック)を服用した際にむせ込み,咽頭部の違和感と軽度の呼吸困難が持続した.同日午後の血液透析中に呼吸器症状が悪化し,胸部CTで左底幹支の狭窄と左肺下葉S8の無気肺を認め気管支鏡を行った.左下葉支から底幹支の粘膜は浮腫状で,底幹支にはゲル状の白色異物を全周性に認め,セベラマー塩酸塩の誤嚥による気管支異物と考えられた.生検鉗子およびブラシを用いて可能な限り除去した.結論.セベラマー塩酸塩は水分を吸着し膨張するという特性から,誤嚥により気道閉塞を起こすリスクが高い.セベラマー結晶による粘膜障害にも注意を要する.</p>

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 43 (5), 510-514, 2021-09-25

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

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