異なる教示を用いた視写課題における書字速度と判読性(legibility)の変化

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タイトル別名
  • Changes in speed and legibility of handwriting due to differences in instructions
  • コトナル キョウジ オ モチイタ シシャカダイ ニ オケル ショジ ソクド ト ハンドクセイ(legibility)ノ ヘンカ

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抄録

書字に困難のある子どもへの指導や合理的配慮を考えるためには、文字の想起を含む「書字能力」と区別して、想起した文字を手書きで表出するhandwriting のスキル(書字スキル)を評価することが重要である。本研究では、この書字スキルの評価指標に関する基礎的知見を得ることを目的とし、視写課題を用いて異なる教示を与えた場合の書字の変化を検討した。 書字に困難のない3~5年生31 名(男子14 名、女子17 名)を対象とし、速度と判読性のいずれかを重視するような教示を与えた時の書字数と判読性、および教示の違いによるそれらの変化量を評価した。書字数についてはいずれの教示においても学年が上がるにつれて増加したが、判読性については学年による差は認められなかった。また、教示に応じた書字数、判読性の変化はいずれの学年でも認められたが、教示の違いによる変化量には個人差がみられた。教示による書字数、判読性の変化量は速度を重視させた時の書字数と相関しており、早く書くことができる子どもほど、教示に応じて書字を柔軟に変化させる力があることが示された。 本研究より、どのような教示であっても同じ教示の下で比較する書字の速度は個人の書字スキルを反映する指標となり得ること、加えて教示を変えた場合の書字速度や判読性の変化をみることで、書字スキルを多面的に評価できることが示唆された。

収録刊行物

  • 子ども発達臨床研究

    子ども発達臨床研究 13 49-57, 2019-03-25

    北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター

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