ケインズ主義的福祉国家の隘路と展望 : オッフェとハーバーマスに即して

書誌事項

タイトル別名
  • Crises and Future of the Keynesian Welfare State : Focussing on Offe and Habermas
  • ケインズ シュギテキ フクシ コッカ ノ アイロ ト テンボウ オッフェ ト ハーバーマス ニ ソクシテ

この論文をさがす

説明

一九八○年代末から九〇年代初頭にかけて、東欧の民主化運動やソ連邦の解体等の大きな世界的変動が起こり、第二次世界大戦以後の世界全体の政治的、経済的、社会的な基本的枠組みであった米ソの冷戦体制にピリオドが打たれた。それとともに、従来社会主義が保持していたユートピア的ポテンシャル、すなわち望ましい未来の社会の見取り図を示す力も枯渇してしまっている。しかし、今日ユートピア的なベクトルを失ない危機に瀕しているのは、社会主義だけではなく、資本主義、あるいは先進資本主義諸国における戦後の経済成長と社会の安定を可能にした「ケインズ主義的福祉国家」もそうである。七〇年代の半ばに西側先進工業国における経済成長が頓挫してからこのかた、ケインズ主義的福祉国家に対する批判や見直しの論議が様々な陣営からなされてきた。ネオ・レッセ・フェールを唱導する新自由主義者や新保守主義者、ネオ・コーポラティズムの処方箋によって福祉国家を再編成しようとする立場は、その右寄りの代表であるが、両者ともに説得力のある理論的、政策的展望を提示し得ていない。本稿では、主にC ・オッフェに依拠して、このような福祉国家否定論と修正論について検討を加え、さらに福祉国家についての左からの批判と展望を示すものとして、J ・ハーバーマスの福祉国家論について触れている。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 15 67-82, 1994

    大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390572174758101760
  • NII論文ID
    120004839678
  • NII書誌ID
    AN0020011X
  • DOI
    10.18910/5481
  • HANDLE
    11094/5481
  • ISSN
    02865149
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles

問題の指摘

ページトップへ