日本の風力発電の持続的な導入拡大に向けて : 制度的・政策的変遷から得られる教訓

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タイトル別名
  • Toward Sustainable installation of wind power generation in Japan : Lessons learned from transitions of policy and institution
  • ニホン ノ フウリョク ハツデン ノ ジゾクテキ ナ ドウニュウ カクダイ ニ ムケテ : セイドテキ ・ セイサクテキ ヘンセン カラ エラレル キョウクン

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説明

世界の風力発電設備容量は2016年末に約5億kWに達し、すでに原子力発電の設備容量を超えた。世界では市場拡大や技術革新を通じてコストが大幅に低下し、出力の変動性に対応しつつ、大量導入と電力の安定供給を両立している。1990年代後半から2000年代にかけて、欧米や新興国では、風力発電の導入拡大が着実に進み、現在のようなコスト競争力を生み出す市場や産業が形成された。大局的には、FITなどの政策支援だけでなく、系統接続や電力システムの変革が一体的に進められたことが背景にあると考えられる。コスト競争力を高め、持続的な導入拡大を可能とする「自立的拡大サイクル」ともいうべき正の循環が機能していると筆者は考える。 しかしながら、日本では風力発電の系統接続がほぼ一貫して制限されており、環境影響評価手続といった他の導入ハードルも加わったことで市場の拡大が一向に進んでいない。ポテンシャルや買取価格等の条件に恵まれているにもかかわらず、日本固有の事業環境が風力発電の導入を妨げている可能性がある。 なぜ欧米と同じように、日本において「自立的拡大サイクル」が形成されなかったのか。本稿では、日本の政策支援と系統接続に焦点をあてる。風力発電に関する日本の政策・制度・ルールの変遷や影響を考察するとともに、導入拡大の鍵となる系統制約の現状と今後の改善に向けた方向性について論じる。

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