ダイズの脂質含量に影響を及ぼす遺伝的要因について

書誌事項

タイトル別名
  • The Influence of Genetic Factors on Lipid Content of Soybean
  • ダイズ ノ シシツ ガンリョウ ニ エイキョウ オ オヨボス イデンテキ ヨウ

この論文をさがす

抄録

国内のほかに,AVRDCと韓国から取り寄せた97品種を供試し,脂質含量と積算温度,100粒重などの遺伝的要因の関係について研究を行った.供試品種の脂質含量は11.6%から22.4%,成熟期は9月5日から11月20日の変異があった.成熟期の早い品種の脂質含量は最低が14.5%であったが,成熟期の遅い品種では11.6%とかなり低いものまであった.積算温度は,早生品種が1,400℃から2,550℃で最も大きく,中生の1,300℃から2,100℃,晩生の1,100℃から1,750℃と徐々に小さくなっている.脂質含量と積算温度の関係を早晩性で区別することなく全体的に見ると,正の相関が認められる.早晩性別には,晩生において相関関係が顕著であったが,早,中性では,相関は認められなかった.さらに,積算温度が等しい品種で脂質含量に12%から22%と大きな差が認められた.脂質含量と100粒重との関係は,100粒重が4gから13gまでは粒重に比例して脂質含量が増加するが,粒重がさらに増加しても脂質含量にはほとんど変化が見られない.しかし,早晩性,100粒重が同じ品種でも脂質含量に5%から6%の差がみられた.そこで,脂質含量,積算温度及び100粒重の各々の問の遺伝相関を求めたところ,脂質含量と積算温度では約0.6,脂質含量と100粒重では約0.8,積算温度と100粒重では約0.7の三者間に高い正の相関が認められた.さらに脂質含量と積算温度及び100粒重の関連性を明確にするために,経路分析を適用した.脂質含量に対する積算温度の直接効果は0.15で,粒重を介する積算温度の間接効果は0.43であった.脂質含量に対する粒重の直接効果は0.64であった.また,開花までの日数,結実日数,積算温度と100粒重がほぼ同じ品種の間にも脂質含量にはかなりの差がみられた.例えば,L11(14.3%)とL12(11.6%)では約3%,H28(20.7%)とH39(16.8%)では約4%の差があった.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ