点滴灌漑およびスプリンクラー灌漑における灌水量と土壌水分分布

  • 長 智男
    九州大学農学部灌漑利水工学研究室
  • 田中 明
    九州大学農学部灌漑利水工学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Water Application and Soil Moisture Distribution under Drip and Sprinkler Irrigation
  • 点滴潅漑およびスプリンクラー潅漑における潅水量と土壌水分分布
  • テンテキ カンガイ オヨビ スプリンクラー カンガイ ニ オケル カンスイリョ

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抄録

スプリンクラー灌漑と点滴灌漑を行なった場合の作物の水ストレスをSPAC理論を用いて求め,両灌漑条件下の水ストレスが等しくなるように点滴灌漑の灌水量を求めた.この方法では,まずスプリンクラー灌漑と点滴灌漑を行なったときの作物のクラウンポテンシャルを各々求める.つぎに日最小クラウンポテンシャルのN日間の積算値が両灌漑条件下で等しくなるような点滴灌漑の灌水量を求める.得られた灌水量はスプリンクラー灌漑を行なった場合の作物の状態と同程度の状態を点滴灌漑を用いて得るために必要な灌水量であるとした.土壌水分を圃場容水量にもどすような降雨がM日毎にあり,スプリンクラー灌漑と点滴灌漑の間断日数を各々D_s,D_d日としたとき,積算日数(N日)はM,D_s,D_dの最小公倍数に相当する日数とすればよい.滴下ラインと作物の主根群域とが離れていて,しかも降雨が頻繁にある場合には,必要な点滴灌漑の灌水量はスプリンクラー灌漑の灌水量より多く必要である.また降雨の間隔が長く,スプリンクラーの間断日数が長い場合には,点滴灌漑の灌水量はスプリンクラー灌漑の場合より少量でよい.滴下ライン直下に主根群域がある場合には,必要な点滴灌漑の灌水量はきわめて少なくすることができると考えられる.スプリンクラー灌漑の場合,土壌水分は水平方向にほぼ一様に分布しているが,点滴灌漑では,滴下ライン直下と主根群域の士壌水分には大きな差がみられる.この傾向は滴下ラインと主根群域が離れる程,また土壌の透水性が小さい程顕著となる.

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