<論説>院政政権の軍事的編成

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タイトル別名
  • <Articles>The Military Organization under the Insei 院政 Government
  • 院政政権の軍事的編成
  • インセイ セイケン ノ グンジテキ ヘンセイ

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説明

摂関政治の時代にかわって、十一世紀末に出現する院政は、軍事力編成の上からいっても中世の状況をあらわしている。このことを明らかにするために院政政権の軍事力に焦点をあててみた。軍防令に象徴されるような公民兵は、すでに八世紀において徴兵不可能となり、健児という選抜兵に軍事力を頼らざるを得なくなった。しかし、この健児もほとんど軍事的な意味をになうことなく矮少化し、ついには国家は国家の手によって軍事力の基本から組織するということをやめ、既製の軍事力を臨時的に利用するところとなる。十世紀より以後の、とくに将門の乱以後の軍事力はこうしたものであり、院政政権についても一定の官職を媒介として民間に在る武力をとりこんで自己の軍事力に編成する。その典型は、のちに院政をも打倒するところとなった平清盛のような武家棟梁である。この棟梁出現の必然性をも考え、院政政権を支えた軍事力の編成と構成について分析を加えた。

収録刊行物

  • 史林

    史林 55 (3), 306-330, 1972-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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