妊娠34週未満の前期破水症例における,母体血清CRP値による組織学的絨毛膜羊膜炎の予測と臨床的予後についての検討

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タイトル別名
  • Prediction and clinical prognosis of histological chorioamnionitis using maternal serum CRP values in preterm rupture of membranes < 34 weeks
  • ニンシン 34シュウ ミマン ノ ゼンキ ハスイ ショウレイ ニ オケル,ボタイ ケッセイ CRPチ ニ ヨル ソシキガクテキジュウモウマク ヨウマクエン ノ ヨソク ト リンショウテキ ヨゴ ニ ツイテ ノ ケントウ

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抄録

<p>前期破水の患者において,分娩前の母体血清CRP値は組織学的絨毛膜羊膜炎(histological chorioamnionitis;以下hCAM)の存在を予測できるのか,また,hCAMの存在が児に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.当院で分娩した妊娠34週未満の前期破水の61例を対象に,出生児の予後に与える周産期因子との関連を後方視的に検討した.「hCAM III」は「hCAM III以外」の症例に比べて,破水週数は早く(妊娠29±4.6週 vs 妊娠27±3.0週)(p=0.048),分娩週数は早く(妊娠30±3.4週 vs 妊娠28±2.9週)(p<0.001), 体血清CRP値は高く(1.3±1.4 mg/dl vs 2.9±2.4 mg/dl)(p<0.001),出生体重が軽く(1622±600g vs 1198±456g)(p=0.004),新生児予後不良群の占める割合は多かった(43% vs 74%)(p=0.027).なお,母体血清CRP値におけるhCAM IIIの発症に対するROC解析では,AUCは0.7688,カットオフ値は0.51で,感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率は,おのおの1.00,0.4524,43.9%,100%であった.多変量解析により,母体血清CRP値(p=0.001,OR 1.691,95%信頼区間1.169-2.445)は,hCAM IIIの有意なリスク因子として抽出された.結論として,妊娠管理中の母体血清CRP値とhCAM IIIの存在が関連することが示された.今回の検討では,母体血清CRP値が0.51mg/dl未満の症例ではhCAM IIIは認めなかったが,0.51mg/dl以上であっても相当数の偽陽性が含まれる.hCAM IIIの予測は児のwell-beingや母体発熱,児の頻脈など総合的に判断して,妊娠管理すべきである.〔産婦の進歩74(1):1-11,2022(令和4年2月)〕</p>

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